放課後はグラウンドで汗を流し、夜は受験勉強のため机に向かう。高校野球に打ち込む球児たちの中には、勉学との両立に挑む「進学校の球児たち」がいる。甲子園常連校とは異なる環境の中で、限られた時間をやりくりしながら白球を追う日々。その先に見据える未来とは-。
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県千葉には二つの意味で“ドクターK”がいる。奪三振(K)を武器にし、将来の夢は医者(ドクター)というエース加賀谷一投手(3年)だ。国府台スタジアムで4月に行われた春季千葉県大会の磯辺戦で、偏差値70越えの超進学校に現れたサウスポーは驚きの投球を見せた。「打たれることはないと思います」と自信を持つ直球は自己最速を更新する142キロを計測。変化球とのコンビネーションで三振の山を築き、終わってみれば20奪三振の快投だった。
県千葉を率いる黒川健太監督からは「甲子園クラスの選手を目指そう」と常々発破をかけられてきたが、本人いわく下級生の頃は「本気度が足りなかった」と振り返る。転機となったのが千葉県選抜の一員として参加した昨年12月の台湾遠征だった。「市立船橋の諸岡や拓大紅陵の宮沢に衝撃を受けました。自分は結構レベルが高いというところにいるかと思ったら、もっと上がいました。あいつらに勝たないといけない。もっと上を目指したい」と発奮材料になった。
自分の現状を冷静に見極め、目標に向けて何が足りないのか的確に分析する様子は野球でも変わらない。最後の夏に向けて「コントロールも心掛けながら球速をあと5キロプラスして、140キロ後半投げられるようにしたい」と課題を胸に取り組んでいる。
学業でもぬかりない。得意教科の英語は、英検準1級を持つほどの実力で受験でも好得点を稼ぐ戦略を立てる。志望校は東京6大学野球リーグでプレーすることへの憧れから東大か、国立大医学部への進学を目指している。外科医をしている母に憧れ、どんなオペにも冷静さを失わずに毅然(きぜん)と立ち向かう母のように「強くて優しくて、患者さんに頼られるような医者になりたい」と純朴な思いを言葉にした。【平山連】
◆加賀谷一(かがや・はじめ)2008年(平20)6月22日生まれ、徳島県出身。3歳で千葉県へ移住し、兄の影響で野球を始める。京葉ボーイズを経て、県千葉では最速142キロの投手として活躍。高1秋から芯に当たった時の飛距離を重視して木製バットを使用するなど投打両面で存在感を示す。英検2級を小学4年で取得するなど学業面でも優秀で、志望校には東大進学して野球部か国立大の医学部を視野に入れる。173センチ、77キロ。左投げ左打ち。
◆県千葉 1878年(明治11年)に千葉中学校として創立された県立校。生徒数955人、野球部創部は97年。過去夏6回の甲子園出場を誇るが、53年(昭28)を最後に甲子園から遠ざかっている。主なOBは政治家の志位和夫氏、俳優の市原悦子氏、ジャーナリストの岩田明子氏ら各界に多数輩出。学校所在地は千葉市中央区葛城1丁目5の2。増田武一郎校長。

