敗れはしたものの、前橋商は健大高崎を追いつめた。ラッキーやアンラッキーも含めた流れはそもそも、先攻の前橋商に傾きつつあった。
空気を作ったのは選手たちであり、スタンドだ。生徒も保護者も全員が本気で応援に参加し、曲も軽やかで、動きも一糸乱れぬ、といったところ。観客に伝わってくる一体感は、全国でもトップクラスのレベル…と言っても過言ではない。
象徴になるのが赤いダルマだ。応援席の真ん中に鎮座する。たまにいなくなったかと思えば、野球部員がダルマを掲げて登場し、応援席を駆け回って踊る。一気に盛り上がる。
山田優真外野手(2年)は3年生たちから「ダルマ係、頼んだ」と任命された。理由は「顔が丸いからです」と丸い笑顔で笑う。今年は5番大沢舜外野手(3年)の打席で「サウスポー」が流れ、前奏とともにダルマと丸顔が登場。一気にボルテージが上がった。
湯浅奏太内野手(3年)の打席では「オー・シャンゼリゼ」が流れる。野球部の女子マネジャーたちが「街を~歩く~♪」とアカペラで声を張る。彼女たちが全力で8小節を歌いきると、スタンド全員が肩を組んで「オー、シャンゼリーゼー♪」と合唱が始まる。これもまた全国でもなかなか見ない、前橋商アルプスならではの見どころだ。
一度は逆転し、音量測定アプリで103デシベルを記録するほど、束になった声と音でナインの力になった。主将でもある湯浅は「地域や仲間に応援されるチームになろうと、みんなで頑張ってきました。。やってきたことは間違ってなかったんだなって思いました」と涙声で感謝した、【金子真仁】

