<高校野球・秋季静岡県大会:静岡商13-6聖隷クリストファー>◇4日◇決勝、3位決定戦◇草薙球場

 3位決定戦で静岡商が13-6で聖隷クリストファーに8回コールド勝ちし、5年ぶり16度目の東海大会出場を決めた。5回表に3番石沢剛捕手(1年)が、本塁クロスプレーで左脇腹を負傷。一部の記憶を失うほどの衝撃を受けるも、治療を受けて試合に復帰。6回には適時打を放つなど、チームを鼓舞した。決勝は掛川西が2-1で静清工を下し、9年ぶり3度目の優勝を飾った。

 石沢の執念が、静岡商ナインに火を付けた。5回表2死一、二塁、中前打で相手の二塁走者が本塁突入して接触。石沢は左脇腹を強打した。バッタリと顔面から地面に倒れ込み、担架でベンチ裏に下がった。「当たってから覚えてない。後ろで(控え捕手の)橋本さんの名前が出た。この試合は絶対に代えられたくなくて、大丈夫ですと言いました」。テーピングを施し、試合に復帰した。

 6回裏2死一塁の第4打席に入る前、痛みは残っていたがテーピングを外した。「(バットを)振るのは怖かったけど、この試合に懸けていた」。中前適時打を放ち、中堅手がボールをそらす間に三塁まで疾走した。この回一挙5得点。勝負を決めた。

 静商にとっては、夏の悪夢がよぎっていた。同じ草薙での静岡大会2回戦(対静岡)。金子明信遊撃手(3年)と藤巻幸大二塁手(2年)が激突し、両者は救急車で病院に搬送された。ライバル対決に敗れ、甲子園への道が絶たれた。

 その藤巻は、4回に左翼ポール直撃の勝ち越し弾を放った。さらに「暗い顔をするな。カラ元気でも出せ」と石沢に助言していた。石沢は「その言葉が支えになって安打が打てました」。これで5年ぶりの東海切符。石沢は「痛さより東海にいけてよかった」と笑顔を見せた。【斎藤直樹】