進路が国内プロか大リーグ挑戦かで揺れる花巻東(岩手)の最速155キロ左腕、菊池雄星投手(3年)が、近日中に国内表明する可能性が高まった。20日、花巻市内の同校でマリナーズ、メッツ、ヤンキース、インディアンスの大リーグ4球団と面談を行い、日米20球団との面談がすべて終了した。会見では「どちらも行きたいのが正直なところ」と迷える胸中を明かしたが、基本路線とする国内プロを決断する見通しとなった。佐々木洋監督(34)や両親と相談し、早ければ今週末にも進路表明会見を行う。

 日米20球団との面談を終えた菊池は、まずは感謝の言葉を口にした。「アメリカから30分の時間のために来てくれて光栄に思います」と敬意を表した。ドラフト会議は29日。注目の進路は「今はどちらかということは考えていない。これからなるべく早く、ドラフトの直前にだけはならないように決めていきたい」と早期に決断する考えだ。

 会見では「(日米)どちらも行きたいのが正直なところ」としたが、気持ちは日本のプロに固まりつつある。今月に入り、近い関係者には「日本でやります」と話したことがある。すでに面談を終了した国内スカウトは「もう決めてるようだった」と国内を基本路線としていることを強調。菊池自身も周囲が日本でのプレーを望む声が多いことは自覚している。今後は佐々木監督や両親と話し合いを続け、最終決断を下すことになる。

 国内表明した場合は12球団OKの姿勢を見せている。「日本に決めた場合は先のことや、メジャーのことは考えずに、すべてを出し尽くす気持ちでやっていきたい」と熱い気持ちを持っている。米球団の中には、菊池の国内志向を調査し、撤退する方向で調整する球団も出てきた。また日米摩擦を起こしてまで獲得に乗り出すことに抵抗を感じているチームもある。

 この日は大リーグ4球団と面談を行い、史上最多となる日米20球団との面談が終了した。「本当に大好きな野球の話を聞けたので、何回でも面談したい」と笑顔を見せた。あこがれの大リーグ球団からのラブコールに、菊池自身も積極的に質問を行った。「教育の面だったり施設のことを聞いた。本当に素晴らしい環境で、やっぱり世界一のところだと思いました」と感謝した。

 佐々木監督は進路表明について「ドラフト直前は避けたい。ただ大事な進路のことなんで、今日、明日とかでは決められない。ご両親とは最終的に私も話がしたいし(話し合いは)土日ぐらいがいいのかなと」との見通しを示した。今週中か、来週早々にも進路を表明することになる。

 今春はセンバツ準優勝、今夏の甲子園では背筋痛を抱えながらも投げ続け、4強入りを果たした。最速155キロ左腕として、一躍注目の的になった。一貫して選択の条件とするのは「どちらの方が自分が成長できるか」という点。決断のポイントは「周りの方の意見も参考にしないといけないので、それも聞きながら。1度だけの人生だから、最終的には自分自身で悔いが残らないように決めたいと思う」と言う。その時は近づいている。