<高校野球兵庫大会:関西学院11-7尼崎産>◇16日◇2回戦

 兵庫大会で神様ジュニアが躍動した。阪神八木裕2軍打撃コーチ(46)の長男、関西学院・八木亮介外野手(2年)が尼崎産戦に「1番右翼」で出場し、4安打の大当たり。現役時代に「代打の神様」と虎ファンに愛された父から継承した打撃力で劣勢をはね返し、逆転勝利に貢献した。

 代打の神様の血は、確実に継承された。八木が4安打3打点の活躍で、関西学院の逆転劇の主役となった。1番右翼でスタメン出場。初回にいきなり内野安打を放つなど、リードオフマンとしてチームをけん引した。

 だが、試合は1回から4回まで毎回失点と劣勢。3回に八木がタイムリーを放ったが、チームは横手投げの下脇一真投手(3年)を打ちあぐねた。6回、制球を乱した下脇に連打を浴びせ1点差とすると、なおも2死一、二塁で八木が打席に入った。

 「逆転する、と気合を入れた。打つことしか考えなかった」。打球は左中間を破る逆転2点適時打となった。広岡正信監督(56)も「本当に大きかった」と話す一打でこの日初めてリードを奪った。その後尼崎産に再逆転されたが、8回に八木のこの日4本目の安打などで一挙6点を奪い、勝利を確かなものにした。

 「試合では緊張しない」という強心臓は父親譲り。父は90年に28本塁打した右のスラッガーで、晩年は代打の切り札として代打通算98打点の球団記録を打ち立てた。父とは対照的に、八木は左打ちで足の速さを生かす巧打者タイプ。意外にも「父に勧められ」小5の時に左打者に転向した。幼い頃は、プロ野球選手の息子というのが重荷になったこともあった。しかし、「今は誇りに思う」と父の面影を感じさせる笑顔で話す。

 小4の時には父の引退試合の始球式で甲子園のグラウンドにも立った。中学、高校と進むにつれ「あの場所で野球がしたい」と憧れるようになった。父とは選手としてのタイプは違うが「目標としているし、いつかは越えたい」と八木。父が高校時代に果たせなかった聖地でプレーするのがこの夏の目標だ。