<高校野球山形大会:東海大山形3-1酒田工>◇18日◇2回戦

 “第9シード”の東海大山形は第5シード酒田工を退けた。最後の第8シード争いで同ポイントの鶴岡工に抽選負け。1回戦からの戦いを強いられた。だが、エース飯屋崎(いやざき)有汰(2年)が奮起して連続完投勝利を挙げた。

 飯屋崎がエースの重責を果たした。6回コールド勝利の小国戦に続き、9回を1失点完投。完封ペースの7回裏に連打で失点した飯屋崎は「気の抜けた球を投げてしまいました」と反省した。

 昨春、「このチームで日本一になりたい」と入学。春からベンチ入りしたが、左腰椎間板の炎症に苦しんだ。昨夏初戦は3回で降板。昨秋は地区予選から登板機会はなかった。復活をかけた今春は、原発事故で家族が南相馬市から新潟県に避難。今も祖母と兄と弟の3人が避難生活している。武田宅矢監督(33)には「お前が頑張って家族の絆になれ」と激励されている。

 最速は「130キロ中盤くらいだと思います。打線を信じて投げるだけです」と一本気だ。5回表、宮里輝希捕手(2年)が左目に自打球を当て、同じ福島・いわき市出身の佐川英智がマスクをつけた。飯屋崎の誘いで今春入学した1年生捕手は、打撃でも7回先頭から中前打で出塁し、3点目のホームを踏んだ。

 チームは、過去7度の優勝実績を持つが、昨夏まで15年間、夏の甲子園から遠ざかっている。「自分がすべて投げて勝つつもりがなければ、エースじゃない」。腰痛を克服した飯屋崎が古豪復活を狙う。【佐々木雄高】