<高校野球青森大会:弘前学院聖愛2-1八戸西>◇22日◇準々決勝

 弘前学院聖愛が八戸西を下し、6年ぶりのベスト4進出。左腕エース奈良岡智明(3年)が今大会初の完投を飾った。

 1点のリードがあれば十分だった。奈良岡の左腕がさえ渡った。最速は130キロだが、ストレートと変化球でコースを巧みについた。「テンポがちょっと悪いのとボールが先行した部分があったので80点。野手がよく守ってくれた」と奈良岡はバックに感謝した。

 原田一範監督(33)は「今日は奈良岡に尽きる。成長した」とたたえた。昨年までは四球連発で崩れることが多かった。この冬、トレーニングと食事の量を増やすことを心がけた。身長181センチで、体重は昨年より3~4キロ増え85キロになった。体力がつき、球威も制球力も衰えなくなった。

 精神面でも強くなった。野球部では毎朝、交代で1分間スピーチを行うが、奈良岡は最初「僕は…」と1分間沈黙していたという。昨冬あたりから1分間話し通せるようになった。野球部はボランティアやごみ拾いが伝統だが、こうした活動で精神面も鍛えられた。

 01年創部で、09年秋の東北大会ベスト4など進境著しい弘前学院聖愛が、悲願の甲子園まであと2つに迫った。奈良岡は「次も僕が投げて野手のリズムをつくり、攻撃につなげる。自分のピッチングをするだけ」と、堂々とスピーチした。【北村宏平】