<高校野球兵庫大会:報徳学園8-1洲本>◇22日◇4回戦

 「眠れる大砲」が豪快2連発!

 兵庫大会では報徳学園の7番立脇将司外野手(3年)が2打席連続の本塁打を放ち、洲本に8回コールド勝ちした。小学時代に阪神能見篤史投手の父謙次さんの指導を受けた男が、効果的な2発で3季連続の甲子園へ1歩前進した。

 下位打者とは思えない、豪快な打球だった。2-1の6回、流れを報徳へ引き寄せたのは7番立脇だ。左翼席へ公式戦初アーチを放つと、7回2死にはポール際へ運ぶ、人生初の2打席連発。チームメートが「おとなしい」と口をそろえる男が、力強く雄たけびを上げた。

 立脇

 カウントも良かったので思い切っていこうと思いました。思い切って振った時にいい打撃ができるのが、自分の強みです。筋肉には自信がないのですが、納得するまで練習をしてきましたから。

 驚いたのは永田裕治監督(47)だった。「初めてアイツの笑顔を見ました。非常に期待していたのですが、なんせ気が弱い子で…」。182センチ、78キロの体格に、抜群の運動能力も、今夏2試合で1安打に永田監督は前日21日、指導者室に呼び出した。

 「失敗しても責任は監督にあるのだから思い切ってやれ」。当初は「怒られると思っていた」という立脇は「大会前から焦っていたのですが、気が楽になりました」と感謝した。

 兵庫・豊岡の「小坂プラッキーズ」で野球を教えてくれたのは、阪神能見の父謙次さんだった。「憧れ」という“監督の息子”は、今や虎のエースとなった。故郷の星とはキャッチボールして励まされたことがある。虎のDNAにも触れている。「ホームランは意識しないで、つなぐ打撃をしたい」と立脇。目を覚ました大砲は、2つのホームランボールを両手で握りしめていた。【近間康隆】