大阪入りを前にして、静岡・佐野健太主将(3年)は決意していた。1日、同校グラウンドでの練習後、佐野は明日3日に行われる組み合わせ抽選会に向けて「増井(達哉)コーチから『試合は絶対に4日目以降にしろよ』と、甲子園出場が決まる前から言われている。相手はどこでもいい。増井さんがいてくれるのと、そうでないのではだいぶ違う」と話した。対戦校も気になるが、チームにとってそれ以上に日程が重要だった。

 現在、教員免許取得のため静岡産大に通う同コーチは、8日までテストがあるため同行できない。投手コーチとして原崎匠人(3年)岩崎翔(3年)を育て、自身が出場した03年以来8年ぶりの甲子園に貢献した手腕は、大会4日目以降でないと合流できない。厳命を受けていた佐野は「捕手になってからリードのことを徹底的にたたき込まれた。増井コーチがいなければ、今の自分はいない」と信頼を寄せており、くじを引く右手に力を込めた。

 今日2日に大阪入りをする予定で、いよいよ甲子園モードに突入する。市内の百貨店伊勢丹に隣接する呉服町通りには、甲子園出場を祝う横断幕が掲げられるなど、周囲のムードも高まっている。「県大会の疲れがないといえばウソになる。大阪入りをして気持ちの切り替えをしっかりしていきたい」と、息つく間もなく西へ向かう。【栗田成芳】