<全国高校野球選手権:関西8-3如水館>◇17日◇準々決勝

 如水館の夏が終わった。全国高校野球選手権大会の準々決勝に広島代表の如水館が登場し、関西(岡山)に敗れた。それでも、3回戦まで3試合連続で延長戦を勝ち抜くなど、甲子園に強烈な印象を残した。この夏はきっと、次の如水館旋風につながる。

 如水館が最後に意地を見せた。6点を追う9回だ。今大会で2度サヨナラ打を放っている先頭の木村が、中前打を放った。安原の四球で二塁進塁。佐藤の三塁へのゴロが敵失を誘う間に、ホームを陥れた。最後は北野が空振り三振でゲームセットとなったが、ナイン一丸で1点をもぎ取った。

 甲子園に強烈な印象を残した。初戦の関商工(岐阜)は浜田の10回10Kゼロ封のロングリリーフで延長13回、3-2サヨナラ勝ち。2回戦の東大阪大柏原(大阪)は延長10回、1年生4番・島崎が勝ち越し打を放った。前日16日の能代商(秋田)は、延長12回に木村の今大会2度目のサヨナラ打で振り切った。同一チームの3試合連続延長戦は大会史上初だった。

 チームの原点は、2年前の夏の甲子園にある。高知との初戦が雨のため2試合連続ノーゲームとなり、2度目の仕切り直しとなった一戦は3-9で大敗。当時1年生だった浜田は、リリーフ登板したが1死も取れずに降板。金尾も三振の1打席に終わった。悔しさをバネにチームは強くなり、最後の夏に臨んでいた。

 この日も4番に入った島崎は、甲子園初登板初先発のマウンドにも立った。1回2/3を2失点と不本意な投球に終わり、その後三塁に回ったが2失策を犯した。試合後は号泣したまま「悔しさしか残らない。投打ともに成長して戻ってきたい。悔しいが、楽しかった」と話した。2番手で1回2/3を無失点に抑えた2年生左腕・坂本は「ちょっとでも浜田さんの力になりたかった。スライダーを磨き、エースの座を狙います」とリベンジを誓った。

 大会最年長監督の迫田穆成(よしあき)監督(72)は「泣くような子じゃなかった浜田まで、悔しくて泣いていた。下級生には全てが良い経験になる」と話した。次の甲子園に向け、如水館の挑戦はもう、始まっている。【佐藤貴洋】