<高校野球滋賀大会:高島3-0長浜農>◇15日◇1回戦◇皇子山

 ほぼ直球勝負で湖国の快腕が完封発進だ。滋賀で高島・滝中瞭太投手(3年)が長浜農を相手に2安打9奪三振無四球で完封勝利。5回まで完全投球で、全107球中、使った変化球はカーブ1球というストレート勝負を挑みプロ注目の力量を披露した。

 真っすぐへの自信は、揺らがなかった。6回、先頭打者に遊撃内野安打を許し完全投球は途切れた。ついに真っすぐをとらえられた。それでも滝中は、真っすぐを投げ続けた。

 「真っすぐには自信があります。自信のある球で、いいスタートを切りたかった」

 4回、先頭への初球にカーブを1球投げただけでスライダー、チェンジアップを封印した。全107球106球真っすぐ勝負での9奪三振無四球完封。近江-八日市の勝者と対戦する2回戦を見据えた戦略もあった。だがこの日の最速143キロをマークした直球へのこだわりは強かった。

 高校入学時は70キロそこそこの身体をウエートトレで鍛え、180センチ、83キロの体格を作り上げた。それでも甲子園出場のかかる大会の準々決勝で昨夏は北大津、センバツにつながる昨秋は近江に競り負けた。年明けから「チームを甲子園に連れて行く」と口に出し始めた。「言ったことに責任を持つ。その気持ちからでしょう」。二宮良信監督(43)は心の成長も感じ取った。

 約束通りの初戦。投球だけでなく、4回1死二塁では2点目の適時打。年明けに右太もも肉離れを起こし今も走塁に影響が残るが、果敢に走って三塁打にした。続く打者の適時打で3点目のホームを踏んだ。

 5球団8人のスカウトが視察。「天性の肘の柔らかさが魅力」(巨人熊野スカウト)「投球もですが、打撃もいい」(広島鞘師スカウト)と、プロからも注目される才能。きょう近江が勝ち上がれば、次戦は昨秋のリベンジの一戦になる。【堀まどか】

 ◆滝中瞭太(たきなか・りょうた)1994年(平6)12月20日、滋賀・高島市生まれ。小学3年から「新旭スポーツ少年団」で内野手として野球を始め、湖西中では軟式野球部に所属。当時は内野手兼投手。高校では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。50メートル走6秒4。遠投100メートル。180センチ、83キロ。右投げ右打ち。