<高校野球福島大会:光南2-1相双福島>◇16日◇2回戦◇天狗山

 双葉、原町、相馬農で結成された連合チーム・相双福島が初戦敗退となったが完全燃焼。プロ注目左腕・佐藤勇投手(3年)擁する光南と、延長12回の死闘を繰り広げた。

 3つのユニホームが泥だらけになった。何度も光南を追いつめたが、延長12回3時間7分の激闘の末に惜敗。涙をこらえきれなかった西山樹主将(3年=双葉)は「300%出し切れた」。まさに3校の100%が結集し、集大成にふさわしい夏となった。田中巨人(なおと)監督(39=双葉)も「持っている以上の力を出してくれた」と選手をたたえた。

 最後となる3年生のために、2年生エースが踏ん張った。猪狩駿投手(2年=双葉)は初回に1点を失ったが、すぐに立ち直った。この日のバス移動中、選手は帽子の裏に「笑顔」と書き込んだ。猪狩はその上に「3年生のために」と加えた。12回を1人で投げ抜き、169球2失点の力投。西山主将のダイビングキャッチなど上級生も懸命に守り、笑顔でエースを支えた。佐藤勇と互角に投げ合った右腕は「原町の先輩にも、いつも支えてもらった。週末の合同練習に行くのが楽しみで仕方なかった」と号泣した。

 「相双福島」としての戦いは終わった。原町が単独で出場できる人数に達し、秋以降は連合から抜ける可能性が高い。最後の夏を終えた西山主将は「たくさんの人に応援してもらった。今度はトレーナーになって、支える側で甲子園を目指したい」と東京の専門学校への進学を希望。全員が「3校合同でやってよかった」と振り返る選手たちは、それぞれの道へ歩き出す。【鹿野雄太】