<高校野球京都大会:京都両洋4-1東山>◇25日◇準決勝◇わかさスタジアム京都

 京都両洋がビックリ弾で初の決勝進出だ。5回に松岡孝典内野手(3年)がバスター打法で決勝3ラン。初代表に王手をかけた。

 同点の5回1死一、三塁。強攻かスクイズか、の場面で思いもよらないサインが出た。「バスターで打て」。盗塁で二、三塁となり、松岡孝典内野手(3年)は指示通りバントの構えから、内寄りの変化球をシャープにとらえた。左翼ポール際に、初の決勝進出を決める3ランが飛び込んだ。

 「まぐれです。本当にまぐれです。勝手に体が反応しました」

 1打席目に三振するなどタイミングが合っていなかった。異例のバスター指示の意図はくみ取っていた。「力を抜くためと思いました。2年半お世話になっていますから分かります」と言った。

 高木英臣監督(42)は「いいと思ったことはやってみて、駄目ならやめればいい」とユニークな発想の持ち主で知られていた。昨秋には、大学から相撲部員を招き力士のトレーニングを取り入れたほど。しかもチームのモットーは、監督からマネジャーまで全員が「家族」。強い信頼感で結ばれているからこそ、監督の思いは選手に伝わった。

 当初は女子野球部に話題をさらわれていた新鋭が、ついに決勝まで勝ち上がった。相手は名門・龍谷大平安だが、松岡は「勢いはこちらが上。チャンスはある」とキッパリ。初の栄冠に、野球部全員で挑む。【山本大地】

 ◆松岡孝典(まつおか・たかのり)1994年(平6)6月26日、大阪・高槻市生まれ。小2で「高槻リトルリーグ」で野球を始め内野手。中学では「オール高槻ボーイズ」。京都両洋では1年夏から背番号15でベンチ入りし、2年秋からは背番号4。通算3本塁打で、この日が公式戦1号。178センチ、75キロ。家族は両親と妹。