明日22日に開幕する第85回記念選抜高校野球大会で史上初の甲子園3連覇を目指す大阪桐蔭が、非常事態に陥った。昨秋打率5割の4番・近田拓矢内野手(3年)が右手首を骨折し、登録を外れる可能性が高いことが20日、分かった。8日の練習試合で死球を受け、この日までに骨折が判明。「痛みが消えない」と話しており、西谷浩一監督(43)は「本当に苦しいです…」と声を絞り出した。

 チームの危機に、大黒柱の森友哉捕手(3年)が捕手と外野手の二刀流で臨む。この日の練習試合・関西学院(兵庫)戦で今春6発目の本塁打を放ったが、捕手で先発し、6回から昨春以来の左翼に就いた。打撃好調の久米健夫捕手(3年)と併用のテストで「得点力を上げるためなら森を動かすこともある」と西谷監督は話した。

 チームは昨年の甲子園3本塁打の笠松悠哉内野手(同)も右肩痛で塁間送球が出来ず、森友の負担は大きい。当初想定していた投手と捕手の二刀流は、エース葛川知哉(3年)が右足骨折から復活したことで実現しない見込みだが「ぼくはどこでも守れます。アドレナリンが分泌される。問題ないです」とおとこ気十分。今春8試合で42打数24安打の5割7分1厘、25打点、6本塁打の強打者はチームの命運を背負い、初戦を迎える。【堀まどか】