<高校野球春季北海道大会:札幌東7-6札幌平岸>◇9日◇札幌地区1回戦◇札幌円山

 「弱くても勝てます」を実現!?

 札幌東が札幌平岸に競り勝ち、8季ぶりの公式戦勝利を挙げた。昨年度の北大合格者98人を誇る道内有数の進学校で、11年夏を最後に初戦敗退が続いてきたが、昨秋から就任した工藤高司監督(54)がチーム改革に着手。放送中のテレビドラマ「弱くても勝てます」のように、進学校ならではの練習時間、環境のハンディを乗り越え、白星をつかんだ。

 捕球すると一気に涙があふれた。札幌東が1点差まで追い上げられた9回裏2死二、三塁。一打逆転サヨナラのピンチで、最後の打者が放った捕邪飛を合田直輝(3年)がつかんだ。8季ぶりに流れた校歌。合田は泣きながら歌った。「フライを捕るまで長く感じた。初勝利がうれしかった」。12年以降に入学したナインにとって初の公式戦勝利だった。

 ドラマ「弱くても勝てます」の青志先生ならぬ高司先生が、ナインを1から鍛え直した。昨秋から指揮する工藤監督は「とにかく勝たせたかった。あの子たちは勝ち方を知らないから、意識改革からやった」。楽しければ良いという考え方を改めさせ、ミスからの自滅をなくすことを徹底。合田は「監督が変わって180度練習が変わった。選手の間でもミスに厳しくなった」という。「しょっちゅう怒られてへこむこともあるけど、勝つために先生を信じている」と信頼を寄せる。

 ドラマ同様、練習時間は限られグラウンドも狭い。中堅から左翼側はサッカー部などの練習場所で、フリー打撃は思うように行えない。午後7時には完全下校と決められ、平日練習は3時間足らず、3年生のほとんどが北大を目指す受験生。そんな中、札幌月寒を率いて全道経験のある工藤監督は「打てなくても勝てる」の信念があり「ミスで負けてたから、それがなくなれば勝てる」と、選手に言い聞かせてきた。

 相手13安打を下回る10安打でも、無失策で導いた公式戦白星。2回戦の札幌光星戦に向け、旭佑太投手(3年)は「当たり前のことがちゃんとできれば良い試合ができる」と意気込む。工藤監督は試合後のミーティングでナインに告げた。「しっかり勉強しろよ、2時間以上」。参考書持参の札幌東ナインが、笑顔で球場を引き揚げた。【保坂果那】

 ◆ドラマ「弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~」

 有数の進学校に赴任した新人教師が、へっぽこ野球部を率いて甲子園を目指す青春学園ドラマ。監督の田茂青志役は二宮和也。原作は高橋秀実氏の『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』。日本テレビ系(道内はSTV)で毎週土曜午後9時放送中。