<高校野球沖縄大会:前原2-1興南>◇22日◇1回戦◇沖縄セルラー那覇

 10年に春夏全国制覇をした興南が沖縄県大会1回戦で姿を消した。前原にサヨナラ負け。初戦敗退は04年以来10年ぶり。07年に我喜屋優監督(64)が就任して以来初となった。

 4年ぶりの聖地への夢は初戦で破れた。興南がサヨナラで散った。同点の9回の守り。2死二塁から打球は二遊間を抜けた。中堅の島袋志文(3年)が前進しての本塁送球はそれ、そのまま倒れ込んだ。我喜屋監督は「本来の彼なら5メートル前で余裕のアウトだったよ」とかばった。打球を追った瞬間、左のふくらはぎがつった。島袋は「暑かった。練習で鍛えて自信はあったんですが。悔しい」と目を赤く腫らした。

 この日の那覇の最高気温は32・3度。数日前まで雨が多く、6月とは思えない湿気を含んだ暑さの中での戦いだった。6回にも石原遼馬右翼手(3年)が左ふくらはぎをつり途中交代した。我喜屋監督は「暑さもあるけどね。高校生は最後の夏だからと隠す。一生懸命やっているから、しょうがない」と責めなかった。

 8回には石原に代わって出場した石川涼(2年)が左前に先制適時打。思いがけず出番が回ってきた下級生が貴重な経験を積んだ。石川は「3年生の気持ちも背負って、これから新チームでも頑張りたい」。我喜屋監督も「次への準備はすぐですよ」と切り替えた。来年こそ甲子園を再び興南カラーのオレンジに染める。【石橋隆雄】