<高校野球北北海道大会:留萌6-3旭川工>◇6日◇旭川地区Bブロック代表決定戦◇旭川スタルヒン

 旭川スタルヒンに“緑風”を巻き起こす。留萌が今春全道8強の旭川工を逆転勝ちで撃破し、16年ぶり5度目の北北海道大会進出を決めた。1点を追う9回、2度のスクイズなどで一気に4点を奪い勝利。甲子園に初出場した71年から続く緑色をポイントにしたユニホームで、再び聖地を目指す。

 勝利の瞬間、グラブを高く突き上げた留萌のエース大友駿(3年)のもとにナインが駆け寄る。OBで就任6年目の内藤尭弘(たかひろ)監督(28)は「スタンドにいる同期たちの顔を見たら『夢をかなえたな』と思い、涙を流してしまいました」と感無量の表情。指揮官もナインも優勝を決めたように歓喜した。

 1点ビハインドの9回1死一、三塁、4番・菊池雄大一塁手(3年)が初球にスクイズを決め、まず同点。野選と失策などでなお1死満塁と好機が続き、6番・内山八雲中堅手(3年)のスクイズで二塁走者も生還し、2点を奪った。ベンチではナインが抱き合い、喜びを爆発させた。菊池は「昨日の試合(旭川龍谷戦)でスクイズを失敗していたから、今度こそと思った」。主砲だろうが関係ない。全員で泥臭くつかみにいった勝利だった。

 甲子園初出場時から続く伝統の緑色がポイントのユニホーム。71年春、当時の主将の提案で取り入れた。その夏に甲子園に初出場。当時チームを率いた織田堅持元監督(76)は「白黒で、灰色ムードから抜け出したいということで。あそこから変わった」と振り返る。「今のチームはあの時のチームに似ている」と目を細めた。内藤監督も「旭川スタルヒンに緑風を吹かせて、嫌われるような色になろうという意味」と話す。今大会でも、追い風に乗って勝利の道を駆け上がった。

 地元出身者ばかりで、突出した選手はいない。選手はベンチ入り18人きっかりと小所帯だ。「(緑色は)雑草色」と指揮官は笑う。それでも田覚勇季主将(3年)は「かっこつけないで、がむしゃらに甲子園を目指す」と力を込める。雑草軍団が、43年ぶりの夢舞台へ続くVロードを突き進む。【保坂果那】

 ◆留萌と道大会

 夏は初出場した71年に優勝。その後80、81、98年に出場。80、98年は1回戦を突破も2回戦で敗戦。春は71、95年の2度出場し、ともに初戦敗退に終わっている。秋は出場なし。