<高校野球西東京大会:成蹊8-6府中東>◇13日◇2回戦◇八王子市民球場

 安倍晋三首相の母校、成蹊(西東京)が「3本の矢」「成長戦略」をキーワードに勝利した。

 これぞ「3本の矢」だ!

 安倍首相の母校・成蹊が初回、1、2、3番が全員得点の鮮やかな先制攻撃で、府中東に逃げ切り勝ち。4年ぶりの夏勝利を挙げた。同首相と同じく小学校から大学まで成蹊OBで、兄・寛信さんと同級生の縁で同首相と顔なじみの両角雄功監督(61)も「首相にも喜んでもらえる勝利だと思います」と満面の笑みだった。

 初回から1本目の矢が口火を切る。1番石村優貴内野手(2年)が中前打で出塁すると、50メートル走6秒1の俊足で二盗を決めた。2本目の矢、2番田川遼外野手(2年)は四球でチャンスを拡大。浮足立つ相手にさらに3本目の矢が畳み掛け、3番中野哲也内野手(2年)が三塁線に絶妙なバント安打を転がした。上位打線トリオで無死満塁とし、押し出し四球や内野の乱れなどで3人ともに生還。中野は「初回の3点が貯金になった」と笑顔だった。

 「成長戦略」も功を奏した。ナインは昨オフに、インナーマッスルと体幹の強化に励んだ。スイングは力強くなり、この日は3本の二塁打を含む9安打で8得点。6失点も打ち勝った。

 石村は5月に肩を痛め、この試合から実戦復帰。田川も3月、左人さし指を骨折し、大会前の練習試合は1試合のみだった。中野も5月は右肩の張りに悩まされた。「久しぶりに1、2、3番を組めて楽しかった。また何かを起こせればいい」と石村。打線に欠かせない3人が戻り、上位進出の機運は高まった。【上田悠太】