<高校野球兵庫大会:明石商5-0柏原>◇15日◇2回戦◇明石トーカロ

 県NO・1右腕、明石商の松本航(3年)が、15Kの完封劇を見せた。許した安打はわずか3本。母からの教えで柔軟な体を武器に毎回の奪三振ショーだった。

 最速147キロ右腕、明石商エース松本が堂々の船出だ。105球を投げきり、許した安打は3本。ストライク先行の丁寧な投球で、柏原ナインのバットは次々と空を切った。松本は「今日は90点。コースをつけられたのが良かった」とニッコリ。狭間善徳監督(50)も「まあまあだとは思いますけど…。うまく緩急は使えていたんじゃないですか」と合格点をつけた。

 好投の裏には、長年、継続してきた秘密があった。母由美子さん(42)が行うマッサージだ。由美子さんは、寮生活の息子の元へ、週1回は足を運び全身をマッサージする。「昔から続けていたことなので」と由美子さん。梁瀬小2年で野球を始めたときから10年間、登板前後には欠かさず自らの手で、思いを込めるようにマッサージしてきた。

 さらにもう1つの秘密がある。毎日行うストレッチだ。バスケットの経験がある由美子さんの教えで、幼少から毎日続けてきた。投手には必須の肩甲骨と股関節のストレッチを重点的に行い、最速147キロのストレートと多彩な変化球を操れるようになった。由美子さんは「投球に生かされているはずです」と笑顔。二人三脚で歩んできた成果がこの日、15奪三振へとつながった。

 昨夏は準々決勝で優勝校西脇工に1点差で敗れた。近いようで遠かった甲子園。最後の夏に懸ける思いは人一倍大きい。「母の愛」に支えられた松本。聖地へ向けた「航海」は始まったばかりだ。【小杉舞】

 ◆松本航(まつもと・わたる)1996年(平8)11月28日、朝来市生まれ。梁瀬小2年から「梁瀬小少年野球」で投手として野球を始める。梁瀬中では軟式野球部に所属。明石商では、1年夏からベンチ入り。50メートル走6秒7。好きな選手は日本ハム大谷。175センチ、76キロ。右投げ右打ち。