<高校野球大阪大会:PL学園13-2大阪府教育センター付>◇16日◇2回戦◇南港中央

 PL学園が2年ぶりに夏1勝を手に入れた。昨年は部内の不祥事により不参加で、昨秋から指揮を執る野球未経験の正井一真校長(66)にとって監督として夏初勝利。サインは正井監督ではなく、背番号14の宇佐美秀真(3年)が出したが、0-2で迎えた3回にはダブルスチールのサインを出して見事成功。一挙5点を奪うビッグイニングを演出した。

 2年ぶりの夏の1勝に、PL学園ナインのホオが緩んだ。昨秋から3季連続で指揮を執る校長の正井監督は「ホッとした。相手は2戦目だったが、こっちは初戦なので。緊張もあったと思う」と、安どの表情で汗をぬぐった。

 昨年2月に発覚した部内不祥事により、6カ月の対外試合禁止処分を受けた。そのため昨夏の大阪大会には出場できず、プロ注目の4番中川圭太内野手(3年)は「悔しかった、昨年の秋、今年の春と試合をしてきて、夏の雰囲気が分からなかった。今日は緊迫した試合展開になったし、『これが夏か』という感じだった」と話した。3回まで0-2とリードを許した場面もあったが、ベンチの雰囲気は変わることなく、平常心を貫けた。正井監督も「私の出番は特になかった」と口にした。

 2年前の夏と違っていたのは、サインを出すのが選手だったこと。野球未経験の正井監督ではなく、背番号14を付ける宇佐美が“采配”を振るった。チームで一番責任感が強く、昨秋は一塁、今春は三塁コーチを務めていた。宇佐美は「選手の特徴をよく分かっている。チームのために頑張ろうという気持ちだった」。3回には2死一、二塁の場面でダブルスチールのサインを出し、見事成功させた。エースの渋谷勇将(3年)から谷健人(3年)への継投も選手で相談して決めた。

 一丸となってつかんだ勝利。甲子園春夏7度の優勝を誇る強豪校が、09年以来の夏の切符へ挑む。【辻敦子】