<高校野球兵庫大会:神港学園8-1佐用>◇17日◇2回戦◇姫路

 神港学園の5番、今井豊貴(とき)内野手(3年)が、2打席連発でチームの7回コールド発進を導いた。6回に2ラン、7回には3ランを放ち高校通算47号。2発5打点の大活躍だった。プロ注目の4番三浦拓巳捕手(3年)の視察に訪れた阪神スカウトの前で豪快な2発。この夏は三浦とともにホームランを量産する。

 神港学園の5番今井が夏の主役に名乗りを上げた。3打席目に2ラン、4打席目に3ランで2打席連続本塁打の5打点の大暴れだ。それまでの2打席は死球、中飛。北原光広監督(61)から「胸を地面につけるイメージで打て」というアドバイスできっちり答えを出した。今井は「ホームランが打てるなんて思っていなかった」と自ら驚きの表情だった。

 2年秋が転機だった。大きく振りすぎていたスイングをボールまで最短距離でバットを出すように変えた。それから本塁打の数が増加。今年4月の兵庫県大会の神戸甲北戦では2打席連続アーチをマークするなど、5、6月の2カ月で10本を放った。

 高校通算48本で強肩が武器の4番三浦をスカウトが視察。今井は三浦を超える活躍で目を引いた。2人はバッティングでお互いの悪いところを言い合う仲。良きライバルにも「長打力には自信があるし、チームで一番だと思っている」と言い切った。

 感謝の気持ちもバットに乗せた。大阪市内から学校へ通う毎朝、弁当を手渡す母に「ありがとう」と言うのを欠かさない。今年の母の日にはカーネーションと手紙を贈った。この日、ホームランボールも真っ先に母に手渡した。母えみさんは「ホームランボールをもらったのは初めて。うれしい」と感激。大切な存在である母へ、最高の贈り物となった。

 兵庫大会では強豪校がひしめく。171センチ、83キロのどっしりとした体格の今井。持ち前のパワーと感謝の気持ちで、本塁打を量産する。【辻敦子】