<高校野球北北海道大会:遠軽9-7白樺学園>◇18日◇1回戦◇旭川スタルヒン

 昨春センバツ出場の遠軽と夏の甲子園に2度出場の白樺学園とのライバル対決は、遠軽に軍配が上がった。

 遠軽が夏甲子園初出場へ、初戦の試練を乗り越えた。過去に2度、北大会決勝で涙をのまされたライバル、白樺学園を退けた。11安打に相手の7失策も重なり着実に得点を奪った。今春の全道で4強入りした優勝候補から奪った1勝に西田主将は「力のあるチームにも自分たちのバッティングで打ち勝った」と念願の勝利を喜んだ。

 今年の遠軽はチームがモットーにするフルスイングだけじゃない。小技や走塁など、機動力も併せ持つ。初回に先頭の西田が内野安打で出塁。犠打とけん制悪送球で三塁に進むと、3番高橋伸のスクイズで先制した。サインが出る前から「スクイズだなと予想していた」と焦ることなく成功させ、序盤で流れを引き寄せた。4回2死一、三塁では代走で出た俊足自慢の荒谷も盗塁を決めるなど、足で揺さぶった。

 夏の地区予選前にチーム改革に着手した。佐藤貴之監督(43)から「お前たちは小技も使うから」と指示。メンバー18人がバントを成功させるまで終了せず、失敗すると約3キロのランニングが課される練習「プレッシャーバント」の回数を増やし、鍛えてきた。

 もちろん自慢のフルスイングも健在だ。スイングスピードのチーム平均は、昨年センバツで1勝を挙げた1学年上の代を上回る。今大会は自前の打撃マシン3台を練習場所のあいべつ球場に持ち込み、振り込みを続けている。この日も開会式後、2時間ほど練習で汗を流してから試合に臨んだ。佐藤監督は「自前のマシンでできるのは大きい」と打撃に自信を持つ。

 先輩たちは4度、北大会決勝で散った。センバツでベンチ入りしたメンバーのうち6人が残り、最後の夏を迎えている。その1人、西田主将は「勝つイメージはできている。打ち合い上等。何が何でも甲子園」と気合を入れた。遠軽ナインが再び聖地に戻ってみせる。【保坂果那】