<高校野球静岡大会:引佐5-4静岡農>◇20日◇1回戦◇清水庵原球場

 最後の夏はそう簡単には終わらせない!!

 引佐、三ケ日、気賀の3校は来年4月の統合で浜松湖北へと生まれ変わるため、現校名での出場は今大会が最後となる。引佐は静岡農との接戦を5-4で制し、2回戦へ駒を進めた。

 神が舞い降りた!

 4-3と1点リードの7回2死二、三塁で、引佐・川嶋大誠捕手(3年)が放った打球は遊ゴロだった。しかし、相手が処理をもたつく間に一塁へ激走。ヘッドスライディングで突っ込むと、塁審の手が広がった。川嶋は5回にも相手の失策で勝ち越し点を呼び込んだ。「こんなことは過去に1度もない。ラッキーすぎです」と、本人もびっくりの“奇跡”の連続での決勝点を導いた。

 強運だけでなく、本職でも存在感を見せた。5回には盗塁を2度阻止。勝ち越し直後の7回裏には1点差とされ、なおも2死一塁のピンチを背負ったが、リリーフの栗田晃徳投手(3年)を強気にリード。「持ち味のまっすぐで押した」と後続を断ち、最後まで1点差を守りきった。

 川嶋は「(統合で)最後なので1試合でも多く勝ちたい。次はラッキーじゃなくて、ちゃんとヒットを打って勝利に貢献したい(笑い)」と、島田商との2回戦に向けて目を輝かせた。一発勝負のトーナメントには欠かせないラッキーボーイが、快進撃を狙う引佐に誕生した。【前田和哉】