<高校野球新潟大会:糸魚川1-0新潟商>◇22日◇4回戦◇鳥屋野野球場

 糸魚川が第4シードの新潟商を破り、8強に進出した。先発した165センチの永野嵩裕投手(3年)が7回1/3を4安打無失点に抑え、2番手の吉田元太投手(3年)が後続を締めて、無失点リレーを完成させた。

 165センチの永野の体が目いっぱい躍動した。130キロにも満たない直球とスローカーブ、スライダーを組み合わせ、テンポ良くコーナーに投げ込んだ。「先頭打者を打ち取ることが大事。自分のリズムで投げられた。後ろに(吉田)元太がいるから思い切り投げられた」。8回に連打を浴びてマウンドを吉田に託したものの、7回1/3を4安打無四球無失点。1回から8回まで先頭打者をすべて打ち取り、攻撃の芽を摘んだ。

 19センチ差をはね返した。新潟商のエース佐藤は身長184センチを誇る本格派で、2試合連続完封を含め、19回連続無失点中だった。「身長差は特に意識してなかったけど、新潟商に勝てば準々決勝のエコスタに行ける」。2回に8番清岡誉捕手(2年)のスクイズで佐藤の連続無失点を止めた。女房役のアシストで、永野はさらに奮い立った。

 幻惑した。この日、本来よりもスピードが遅い「抜いた直球」を織り交ぜていた。「身長があるわけでも、直球が速いわけでもない。だから緩急をつけたかった」。春の県大会後、スローカーブと直球の間の球速で、「抜いた直球」の開発に着手した。チェンジアップも投げていたが、しっくりいかず、直球の中で球速差をつけることにした。6回1死一、三塁、2番安川への初球に「抜いた直球」を放り、一ゴロ-本塁タッチアウトでピンチを乗り切った。

 投手がやりたかった。1年秋、小学生以来となる投手を志願した。2年秋は背番号11でその冬、通常の長靴をはいた雪上ランニングに加え、食べ込みも始めた。大盛り2杯のご飯を食べ続け、入学時は身長159センチ、51キロだったのが、3年になると165センチ、60キロに成長。「直球のキレとスピードがあがった」ことにより、3年の春から背番号1を勝ち取った。

 3回戦・三条東戦での1安打完封に続き、2試合連続無失点。「目標は石川さんを超えること」。2年前の夏、1年先輩の石川勇二投手(現日体大1年)が、チームを4強に導いた。今度は永野の番だ。【高橋洋平】

 ◆永野嵩裕(ながの・たかひろ)1996年(平8)11月16日生まれ、糸魚川市出身。小4から野球をはじめ、糸魚川中時代は上越地区大会準優勝。糸魚川に進学し、1年秋から本格的に投手の練習をはじめ、ベンチ入り。2年秋は背番号11、3年春から背番号1を任されている。165センチ、60キロ。右投げ右打ち。家族は両親、妹3人と弟。