<高校野球静岡大会:日大三島18-1沼津工>◇23日◇2回戦◇愛鷹球場

 第1シードの日大三島がプロ注目の主砲、中泉圭祐(3年)の活躍で大勝発進した。夏の大会では自身初となる高校通算24号を放つなど3安打5打点と爆発、5回コールド勝ちに貢献した。バックネット裏で6球団のスカウトが見守る中、持ち前の長打力をアピールした。今日24日は3回戦16試合が行われる。

 中泉がスカウトも仰天の活躍を見せた。1回に先制二塁打を放つと第2打席は右前適時打。3回の押し出し死球を挟み、4回裏無死一塁の場面では豪快なスイングでスタンドまで運んだ。中泉は「夏の大会は初めての本塁打。(先制打よりも)うれしい」と持ち前の人懐っこい笑顔で振り返った。

 ロッテ、広島、中日などのスカウトが見守っていた。ゆったりしたスイングで遠くに飛ばせる能力を評価している。元ヤンキースの松井秀喜氏のように強くひっぱたいて飛ばすのではなく、元中日の山崎武司氏のようにボールを乗せて運ぶタイプで、現在の打者では珍しいという。昨年も視察したロッテ・井辺スカウトは「長打力あるねえ」と収穫を口にしていた。

 投手との駆け引きもみせた。「甘いボールは来ない。数少ない失投を捉える」との課題を掲げていた。第1打席は変化球をとらえて左翼線へ運ぶと、第2打席は初球を右前へ。「逆方向に打てばそれ以降で甘いコースにも来る」。本人にとって本塁打は必然の結果かもしれない。

 中泉が火を付けた打線は16安打で18点を奪った。中泉は「先を見ても足をすくわれる。1戦ずつ一丸となってやりたい」と引き締めた。主砲が引っ張り日大三島が25年ぶりの優勝へ幸先よいスタートを切った。【加納慎也】