<高校野球兵庫大会:神戸国際大付11-1三田松聖>

 ◇27日◇決勝◇明石トーカロ

 神戸国際大付が悲願の夏出場を決めた。エース黒田達也(3年)が7回1/3、5安打1失点の好投を見せ、打線は3回に一挙7得点の猛攻で試合を決めた。春は3度出場も夏は初めて。投打にバランスが生まれたチームで初の暑い甲子園へ挑む。

 青木尚龍監督(49)は言葉につまり、目頭をおさえた。「こうなったらいいなという思いがあった。なったらなったで宙に浮いてる気分」。神戸国際大付を率いて味わう初めての夏の県頂点。最高の気分だった。

 3回打線が火を吹いた。相手の失策から1点を先制すると、そこから4連打で一挙6点。西俊洋主将(3年)は試合前「監督に『祭りのようにいけ』と言われました」と、その言葉通りの猛攻を見せた。

 打線が奮起すればエースも踏ん張る。黒田は7回1/3を5安打1失点。準決勝からの連投も「絶対負けられへん。秋に負けた三田松聖を甲子園に行かせるわけにいかない」。強い気持ちが疲れを上回った。前日26日の夕方、選手たちが三田松聖のビデオを見る中、青木監督は黒田と車で近くのラーメン店へ行った。「病院行くのいややったやろ」。けがに苦しみ、5度の手術を乗り越えたエースと2人で話をした。「連投しんどいか?」の問いかけに黒田は「中学の時も2日で3試合投げてきた。『大丈夫です』と答えました」。ニンニクたっぷりのラーメンを食べて臨んだ決勝だった。

 今も入浴後に30分近くストレッチし、その後、膝のアイシングをするなど体のケアは入念にしている。「楽しんで投げているところを見てほしい」。苦しんだ分、伸び伸びと投げる姿を甲子園で見せる。

 「162校の頂点に立ったんやぞ」。開会式で選手宣誓をした主将の西は、優勝旗を持ちグラウンドを行進した。「最高の夏です。これからですけど」。ナインは熱い甲子園が待ち遠しくてたまらない。【磯綾乃】

 ◆黒田達也(くろだ・たつや)1996年(平8)12月2日、兵庫・姫路市生まれ。糸引小1年から「糸引ジャガーズ」で投手として軟式野球を始め、姫路市立灘中では軟式野球部に所属。引退後に準硬式の「MAJOR

 HYOGO」で全国優勝。神戸国際大付で1年秋の近畿大会で初のベンチ入り。3年春から背番号1。球種は最速140キロの直球とカーブ、スライダー。遠投100メートル。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。

 ◆神戸国際大付

 1963年(昭38)創立の私立校。生徒数は950人の男子校。野球部は63年創部で、部員数は88人。甲子園出場は春3度、夏は今回が初。主なOBはオリックス坂口智隆外野手、ソフトバンク岡本健投手ら。所在地は神戸市垂水区学が丘5の1の1。高木正皓校長。◆Vへの足跡◆2回戦3-0加古川東3回戦11-2明石4回戦6-0竜野5回戦7-0武庫荘総合準々決勝6-3滝川準決勝3-0社決勝11-1三田松聖