<全国高校野球選手権:利府4-2佐賀北>◇13日◇1回戦

 佐賀北の「がばい旋風」再来とはいかなかった。2点リードされた直後の6回表、代打・松尾直樹(3年)が同点打で望みをつないだ。その裏エース福井一朗(3年)が2失点も、佐賀大会で3度延長戦をサヨナラで制したナインは逆転を信じ、9回2死満塁のチャンスをつくった。しかし2番・島剣太(3年)が打ち取られ、優勝して以来、7年ぶりの夏1勝を逃した。松尾は「7年前に全国制覇した人はあの大観衆の中でよく自分のプレーができたなと思った」と唇をかんだ。

 小学生の時に07年全国制覇を目にし憧れて入部した選手ばかり。5番・田中耀(3年)は日本一になった先輩の姿をアルプスから見た。この日は「グラウンドに立って、そのときの試合が走馬灯のように流れた」。打撃が不調の時には当時のビデオを何度も見た。県内の公立校では成績上位校だけに、必死に勉強して何とか入学できた選手もいる。偉大な先輩たちの背中を追いかけた思いは、聖地に残した。【辻敦子】