<高校野球西東京大会:八王子6-5創価>◇17日◇4回戦

 八王子が劇的な逆転サヨナラ勝ちで、昨夏決勝のリベンジを果たした。4回戦で創価と対戦、2点差を追う9回裏に一挙3点を奪い、試合をひっくり返した。創価の連続出場の夢は破れた。

 八王子の3番山本尚人外野手(3年)は打席に入る前、小刻みにジャンプを繰り返した。9回1死二、三塁。自らを落ち着かせる「儀式」だった。フルカウントまで粘った7球目、振り抜いた打球は右前で弾んだ。「どんな球だったか覚えていません。でも思い切り自分のスイングができました」。逆転サヨナラ勝利を決めた山本は興奮気味に価値ある一打を振り返った。

 7、8回と併殺で好機をつぶした。2点差で迎えた9回、ナインは「悔いの残らないようにやろう」と確認し合った。チーム1の努力家、竹口祐太郎(3年)が代打で中前打し、流れが変わった。3連打で満塁。2番南嶋亮内野手(1年)が右翼線に落ちる執念の二塁打を放ち、同点だ。ここで山本が登場した。

 安藤徳明監督(47)に「今が一番楽しい場面だぞ」と送り出された。4番の狩野竜馬外野手(3年)には「オレもいるからリラックスしていけ」と言われて吹っ切れた。「思い切り振って三振でも大丈夫」と仲間を信じた結果だった。

 創価戦を目標にしてきた。昨夏は7番で先発、4打数2安打したが、チームは逆転負けだった。その屈辱を糧に、厳しい練習に耐えてきた。冬の伊豆合宿では足袋を履いて朝5時から砂浜を10キロ走った。「みんな振りが鋭くなった」と成長も実感していた。

 「創価と戦えると思うと目覚めがよかった」。待ち望んだ試合に、胸のすくような逆転サヨナラ勝利。観戦に訪れた昨夏のエース川嶋大介さん(19)は「1年間の悔しさを吹き飛ばしてくれた」と後輩たちをたたえていた。