<高校野球岐阜大会:市岐阜商4-3岐阜城北>◇20日◇4回戦

 今秋のドラフト上位指名候補の岐阜城北・伊藤準規投手(3年)は大垣北球場で行われた市岐阜商戦に先発。3-4で敗れ、甲子園出場はならなかった。

 超高校級右腕の夏が幕を閉じた。3-4で迎えた延長10回裏。2死から次打者サークルで味方の遊ゴロを見届けた岐阜城北・伊藤はうつむき1歩も動けなかった。試合終了から約30分後に更衣室から出てきた伊藤は「最後まで負ける気はしなかった。ボクがふがいなくてチームに迷惑をかけた。申し訳ない。本当に申し訳ない…」。チームに対しての謝罪を繰り返した。

 10イニング173球の熱投も実らなかった。初回に暴投で先制点を許すと、4回にもタイムリーを浴びた。その裏に自身の本塁打で追い上げ、9回には3-3と追いついた。しかし10回にこの日2度目の暴投で決勝点を献上…。直球は144キロ止まりと本調子ではなかったが、右ひじ故障から復帰後、初めて9イニング以上を投げた。勝利への執念は消えなかった。

 この日も9球団31人のスカウトがネット裏から伊藤に熱視線を送った。オリックス熊野スカウト部長が「東海地区担当(スカウト)ならみんな1位(巡目)で指名したいと思っているはず」と話せば、中日中田スカウト部長は「全国的に素材、器を考えると(1巡目指名の)12人には入ってくる」。この日の結果とは関係なく、プロ野球関係者は伊藤の素材と将来性を高く評価している。

 注目される卒業後の進路について伊藤は「やれるならプロでやりたい。活躍する姿を見せてみんなに恩返しがしたい」とはっきりとプロ入り希望を口にした。1度も甲子園を経験することなく、高校生活は幕を閉じた。だが伊藤は「これで高校野球は終わりますけど、自分を磨いて、プロで通用するくらいの体づくりをしていきたい」と早くも目を向けていた。【桝井聡】