<高校野球大分大会>◇13日◇1回戦

 柳ケ浦が大分豊府を8-1の7回コールドで破り初戦を突破した。昨年の開会式当日に起きたバス事故からちょうど1年。心の傷、体の傷を乗り越えたナインが、甲子園を目指して出陣した。

 1-1で迎えた2回裏、柳ケ浦の攻撃中に雨が激しくなった。42分間の中断。これで柳ケ浦ナインは落ち着きを取り戻した。5回に集中打で3点をあげて勝ち越し、7回にも4点を追加してコールドを決めた。田島峻大主将(3年)は「中断がよかった。ベンチでみんながリラックスできました」と振り返った。

 昨年7月のバス事故で負った傷は大きかった。転校した部員もいた。治療を続けた選手も多く、練習が本格的に始まったのは1月5日の練習始めだった。「下を向くのはやめよう。悲しみを乗り越えよう」と藤久保茂己監督(59)が掲げたテーマは「超越」だった。

 10日の開会式後、毎年恒例の激励会で3年生はゆずの「栄光の架け橋」を歌った。昨年の激励会で吉川さんが歌うはずだった。「吉川と10人で戦うんだ、球場の上で吉川が見てるぞと話しました」と藤久保監督。この日はスタンドの吉川さんの遺影がナインを勇気づけた。「甲子園に行って、お墓に報告したいです」。田島主将が部員の思いを代弁した。【前田泰子】