<高校野球山形大会>◇17日◇1回戦

 ともにベンチ入り11人の対決は、真室川が8回コールド(13-6)で金山を下し、15年ぶりの夏勝利を挙げた。2年生ながら、高野連規定で高校最後の夏になるエース高橋拓(ひらく)主将が長髪を五厘刈りにしてリーダーシップを発揮。一時は逆転されたが、8回裏に2番富樫翔(3年)の決勝ランニング2点本塁打でコールド勝ちした。

 真室川が「五厘刈りパワー」で夏通算18勝目を挙げた。全校応援に後押しされて、95年1回戦(庄内農)以来、15年ぶりの夏白星。昨年まで部長だった佐藤寿紀監督(51)は「明日大会のあるブラスバンドも来てくれた。選手にも気持ちが伝わったと思う」と感謝した。

 新庄東を1年秋に退学して翌春、真室川に再入学した高橋主将が“最後の夏”にかける意気込みを見せた。抽選会では野球テレビドラマ「ルーキーズ」ばりの長髪だった。だが16日の開会式後の練習で、自らバリカンを手にしてナインの前で五厘刈りにした。「主将のけじめとして丸刈りにすれば、みんながついて来てくれると思った」という通りに6人が続いた。結束力も高まり、ベンチ入り11人中9人の五厘刈り軍団でチーム史に新たな1ページを加えた。

 エースとして4回まで毎回の8奪三振。5回途中降板で守備に退いたが、6-6の8回裏には先頭打者として敵失で出塁。二盗で、続く富樫の決勝本塁打のおぜん立てした。2回戦の相手は昨夏0-7で初戦コールド負けした山形南だ。昨秋は部員3人の苦しさも味わった。高校初本塁打の富樫は「(野球を)やめなくて良かった」。高橋主将は「山南のピッチャーより三振を取りたい。このチームでもっと勝ちたい」と雪辱を誓った。【佐々木雄高】