<高校野球岩手大会>◇18日◇2回戦

 岩手ではプロ注目の右腕、伊保内(いぼない)の風張蓮投手(かざはり・れん)投手(3年)が7球団スカウトが見守る中で初登板、140キロをマークして10三振を奪い、1-0で西和賀を下し夢の舞台へ第一歩を踏み出した。

 梅雨明けが発表された東北地方に、プロ注目右腕の伊保内・風張が登場し、夏本番を告げた。西和賀相手に3安打、10三振を奪ってつけ入るスキを与えなかった。最速は140キロで、自己記録の147キロには及ばない。それでも180センチから投げおろす直球に、大きなカーブ交えて的を絞らせなかった。外野に飛んだ打球は4本だけ。風張は「100点満点の投球でした。最後なんで、やってきたことを全部出すつもり」と納得の表情を浮かべた。

 スタンドにはプロ7球団のスカウトが訪れ、東北のNO・1右腕に熱い視線を送った。3人体制で臨んだ巨人の大森スカウトは「コントロールが良く、縦のカーブに特徴がある。まだ全力投球じゃない。それが増えれば、さらに良くなる」と評価した。

 「省エネ投法」にはわけがあった。伊保内の部員数はマネジャーを除くとわずか21人。風張1人で岩手大会の全6戦を投げ抜かなくてはならない。春から三振は狙わず、打たせて取る投球を実践。その一方、6月にはスタミナ強化の体づくりにも取り組んだ。1週間1000球の投げ込み。バント処理も想定して「投げてはダッシュ」を繰り返してきた。「全部投げきるつもりです」。

 入学時、強豪私立への進学を薦める声もあったが、あえて断り、地元の県立校である伊保内に進んだ。選手全員が九戸中の出身だ。「地元から全国制覇したいんです」。昨夏は菊池雄星投手(現西武)を擁した花巻東に胸を躍らせた。「今度は自分が」-。岩手の県立校に出現した右腕は、その気だ。【三須一紀】