<高校野球福島大会>◇19日◇4回戦

 8強に県立高が7校残った。白河の渡辺高章投手(3年)は、第6シード会津を相手に10-6で投げ勝った。

 白河の渡辺高はどんな場面でも表情を変えない。ピンチを抑えても、ダッシュでベンチに引き揚げるだけ。7回に1度降板し、9回無死2塁で再びマウンドに上がる緊急事態でも慌てない。失点はしたが、低めのチェンジアップで会津の猛攻をしのいだ。2年連続8強入りの立役者は「正直緊張した。勝てたのが何より」と視線を動かさずに話した。

 実家が営む「渡辺だるま店」にちなみ、あだ名は「だるま」。今月上旬の壮行会では、両親が作った「白河だるま」の片目に墨を入れ、必勝を祈願した。強豪・仙台育英も取り寄せている。そのつながりから昨年の正月、あこがれのヤクルト由規(仙台育英卒)のサインが実家に届いた。「家宝です。子どものころは『だるま』が嫌いだったけど、今は好きです」。初めて笑顔をみせた。

 だるまの片目には、まだ墨が入っていない。「優勝したら、みんなで目を書きます」。「第2の男」の目に映るのは甲子園だけだ。