<高校野球鹿児島大会>◇21日◇準決勝

 鹿児島実が鹿児島南に3-2で競り勝ち、2年ぶりの決勝進出を決めた。9回裏2死一、二塁で6番揚村恭平内野手(2年)が中前にサヨナラ打を放った。OBのW杯日本代表MF遠藤保仁(30=G大阪)が母校を訪れ野球部へエールを送っていた。先輩の激励に応えて2年ぶりの甲子園出場に王手をかけた。

 W杯でFKを決めた遠藤先輩ばりの弾道だった。9回裏2死一、二塁、鹿児島実の6番揚村が3球目をはじき返すとライナーで二遊間を抜け、中前で弾んだ。二塁走者の川崎友幸外野手(3年)がヘッドスライディングで生還。2試合連続サヨナラ勝利で決勝進出。W杯の日本代表にも負けない激闘で決勝の舞台へ上がった。

 序盤の2点ビハインドをひっくり返した。4回には2死一、二塁で相手守備の乱れから同点に追いついた。3回2死から登板した野田省吾投手(2年)は9回まで1安打無失点でサヨナラ勝利を演出。揚村とともに2年生コンビが勝利に貢献した。大会前まで4番だった揚村は不振で6番に降格。「今日は自分が決めるしかないと思いました」と意地を見せた。

 試合前日、遠藤がW杯の報告で学校を訪れた。全校生徒を前に壇上であいさつし「野球部、頑張ってください」と野球部を激励してくれた。「オーラがありました。明日やってやろうと思いました」と揚村。W杯日本代表の試合はすべて、寮でテレビ観戦した。午前3時すぎから始まったデンマーク戦は翌日の朝練を中止して観戦。パラグアイ戦ではPK戦のときテレビの前で全員で肩を組んで応援した。テレビを通してOBの遠藤と松井大輔(29=グルノーブル)に闘魂を注入された。

 決勝はライバル樟南との対戦だ。今年樟南とは4戦目で対戦成績は1勝2敗。「タイに持ちこんで夏を終わらせたい」と宮下正一監督(51)。ナインは先輩にもらった強い心をもって、最後の激闘を制する。【前田泰子】