<高校野球北北海道大会>◇22日◇準決勝

 決勝は武修館と旭川実の顔合わせになった。武修館はプロ注目右腕の上田昌人(3年)が、7回表1死一塁から代打で逆転の決勝2ラン。投げては先発の2年生左腕・長谷川諒次を救援し、遠軽打線を3回無失点に抑えて3-1で勝ち、初の決勝に導いた。旭川実は5-4で駒大岩見沢に競り勝ち、3年ぶりの決勝進出を果たした。

 バットから伝わる感触がいつもと違った。上田自身がスイングを終えた時、すぐにそれと分かった。バッターボックスから一塁に1歩、足を踏み出した時には思わず万歳をしていた。1点を追う7回表1死一塁で代打出場。狙っていた内角高めのカーブをとらえ、逆転の2ランだ。「得意のコースに来たので、完ぺきでした」と振り返った。

 ホームインしてベンチに戻ると、123キロの巨体が待ち構えていた。ベンチ前で島影隆啓監督(28)と抱き合いながら、逆転の1発を喜んだ。「やっぱり何か持っている。本塁打を打って来いと言ったら、本当に打ってきた」と島影監督。今大会屈指の右腕、遠軽・西村から放った公式戦11本目のアーチは貴重な逆転打となった。

 決勝を見据えて後輩に先発マウンドを託した。休養日となった21日のミーティングで、島影監督が上田の中指のマメと決勝での戦いを考え、長谷川の先発を提案。選手1人1人に確認した結果、全員一致で2年生左腕を準決勝のマウンドに送り込んだ。長谷川は直球と変化球を内外角に投げ分ける丁寧な投球で、6回1失点の好投を見せた。7回表に代打出場を告げられていた上田は、6回を投げ終えてベンチに戻ってきた長谷川に「よく投げた」と肩をたたき、ねぎらいの言葉を掛けた。

 目指すは初の甲子園出場だ。中標津が北大会を制した90年以降、釧根勢の決勝進出はない。20年前に中標津が北大会決勝で戦った相手は旭川龍谷。23日の決勝でも、同じ旭川地区の旭川実と対戦する。上田は「目標は甲子園に行くことではなく、全国制覇をすることなので、まずは明日勝たないと意味がない」と力を込めた。悲願の甲子園出場を果たすため、最後の戦いに挑む。【石井克】