<高校野球広島大会>◇27日◇準決勝

 甲子園まであと1勝だ!

 広島大会は27日、準決勝2試合を行った。センバツ4強の広陵は同点の6回から有原航平投手(3年)が登板し、4回8奪三振の好リリーフ。6-4の逆転で広島観音を振り切った。28日の決勝戦(マツダ)は昨年と同じ如水館-広陵となった。

 千両役者だ。広陵有原が、広島観音の勢いを止めた。2点リードの9回表2死一塁。最後の打者を空振り三振に仕留めると、マウンド上で静かに笑った。決勝進出の懸かった大一番で、同点の6回から登板。球場の球速表示に「143」が踊る。鋭い変化球を織り交ぜ、8奪三振。二塁を踏ませぬ4回2安打0封も「流れを変えようと思った」と淡々と振り返った。

 背水の陣も、有原に重圧はない。成長株の上野健太(3年)が初回4失点。2番手の川崎真(2年)が立て直すと、中井哲之監督(48)は「決勝を考えると有原は2イニングと思ったが、この試合に負けたら終わり」と背番号1を投入。有原は「ゼロで抑えれば味方が点を取る」と奪三振ショーを演じた。8回に渕上真内野手(3年)の2点適時打で勝ち越すと、最後もKで締めた。

 修正能力も高い。5回4安打3失点した準々決勝・崇徳戦から中1日。映像を見直すと「腕が振れていなかった」と短期間で修正し、実践した。「大会NO・1右腕」の称号を得たセンバツでは、準決勝の日大三戦(東京)で雨に泣き敗退。センバツ後は精神面を鍛えるため、練習の負荷を上げた。

 2年生ながら実質エースだった昨夏、有原は如水館に9回完投も1-2で敗れた。「同学年に打たれたわけではない」と胸に刻んだ。あれから1年。「今夏は言い訳はいらない」。成長した姿を、決勝で見せる。【佐藤貴洋】