<全国高校野球選手権:鹿児島実15-0能代商>◇13日◇2回戦

 能代商(秋田)が鹿児島実(鹿児島)に0-15と大敗し、夏の甲子園で県勢13連敗となった。左腕エース保坂祐樹(2年)は2回途中5安打5失点で降板。打線は6回1死まで1人の走者も出せなかった。工藤明監督(34)は「完敗です。ここまで力の差があるとは思わなかった。私の認識不足でした」と肩を落とした。

 試合中に修正できないほどの実力差が、明確にあった。大敗を喫し、取材エリアに現れた工藤監督の第一声が、それを物語っていた。「秋田県大会と同じ戦い方をした。保坂ら投手陣も自分の力を出し切った。ここまで差があるとは…」。放心状態だった。

 序盤からチームは悲鳴を上げた。まだ2回だった。工藤監督が「勝負球が良ければ続投させる」と川村栄貴(ひでたか)捕手(3年)に声を掛けた。だが「厳しい球も持って行かれてます」。エースを1回 2/3 でベンチに下げるしか方法はなかった。

 右腕・田村清司(3年)が2番手としてマウンドに上がったが、鹿児島実打線はさらに牙をむいた。5回 1/3 を投げ13安打8失点。守備陣も6失策と、完全に甲子園の雰囲気にのまれていた。保坂が「あっという間に終わった。相手はレベルが高く、どこを投げても打たれる気がした」と言えば、田村も「秋田と違って甘い球を見逃さずに振ってきた」と肩を落とした。

 「練習を一から見直さないといけない」と工藤監督。冬場は降雪のため室内練習場でノックをするが、スペースが小さいため部員が硬式球を怖がるという。プラスチック製のボールでノックを行うが、練習への取り組み方から改善を迫られることになった。この日も内野手強襲の当たりを、ことごとく外野に運ばれていた。

 それでも、再出発へ希望の光は残した。1年生2人の活躍だ。右腕・畠山慎平は2回5安打2失点と踏ん張った。平川賢也左翼手も最終回に中前打。小学時代はサッカーで、中学時代は野球で秋田選抜となった運動神経抜群の平川は「1本打ったことで次につながる」。吉岡達也主将(3年)はすがすがしい笑顔で「恥ずかしい結果ではない。胸を張っていい。後輩には1勝を目指してほしい」。13年に能代北と統合し現校名は消滅する。それまでに聖地で校歌を歌うため、チームは生まれ変わらなければならない。【三須一紀】