エンゼルスのアルバート・プホルス内野手(41)が今季、10年契約の最終年を迎える。2001年にデビューしたマリナーズのイチロー氏の同期の中で唯一、まだ現役を続けている選手の最終年だ。キャンプイン早々、夫人がインスタグラムで今季がラストシーズンだと投稿し、すわ引退かと騒動になったが、エンゼルスとの契約が終了した後のことはまだ決めていないという。年齢的に新たな契約を得るのは厳しくなるが、好成績を残せば可能性はあると、内心は闘志を燃やしているかもしれない。

カージナルスでデビューしたプホルスは、同チームに所属したその後の約10年間、圧倒的なスーパースターだった。イチロー氏と同じく新人で01年オールスターに出場し、同年の新人王に選出。05、08、09年と3度のMVPに輝き、ゴールドグラブ賞2度、本塁打王2度、首位打者と打点王にもそれぞれ1度輝いた。

カージナルス時代のプホルスを何度か取材したのを覚えているが、球団内では別格扱いだった。メジャーの取材は通常、クラブハウスに入って目当ての選手がいれば直接声をかけて話を聞くことができるが、プホルスだけは広報の仕切りを通さなければなかなか声はかけられなかった。

12年にエンゼルスに移籍してからは、長引くケガや年齢による衰えもあり、全盛期のような活躍はできていない。今はマイク・トラウト外野手(29)や大谷翔平投手(26)のようなスター選手がチームにおり、脇を固めるベテランの役割を担っている。先日、USAトゥデー紙のインタビューでは「二刀流をこなせる選手はいるかと聞かれたら、大谷ならできると答える。どちらか1つに絞った方が有利な面が多いかもしれないけれどもね。だがこれだけは言える。彼はすごい打者だ。投手をやれば毎日は試合に出られないが、出れば本塁打を30本は打てる」と、15歳年下の後輩に一目置いていた。トラウトについては「彼は特別な選手。お互い全盛期のときに一緒にプレーしていたら、史上最強のコンビになっていただろうなと、冗談めかして彼と話したことがある」と明かしていた。

メジャー21年目、契約最終年の今季を戦った後、どんな決断を下すのかは分からないが「引退を決めたら、インスタグラムのようなものでは発表しない」という。「私のファンは、もっといい待遇を受けるべきだ。みんなに一斉に届くように、引退会見を開くつもりだ」と明かしている。選手が何かとSNSを使う昨今、こういうところは同時代を生きてきたイチロー氏に通じるものがある。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)