トレード期限が迫り、大谷翔平投手(27)が所属するエンゼルスの選手たちも心揺れている。一体チームは売りに出すのか、それとも……。現在、勝率5割を前後をさまよい、ア・リーグ西地区4位。コロナ禍で各リーグ8チームが進出できた昨年のポストシーズンとは異なり、今年は各リーグ5チームしか進出できないフォーマットに戻るため、ここからポストシーズンまではい上がるには、相当まくらなければならない。

自分はどうなるのだろうかと、トレード期限の1週間以上前から気持ちが落ち着かない選手もいる。先発右腕アレックス・カッブ(33)だ。今年2月にオリオールズからトレードで移籍したカッブは、今年が4年契約の最終年に当たり、シーズン終了後にFAとなる。チームが売りに出るとなれば真っ先にトレード要員になる1人だ。

先日の会見でその話題になり「自分がトレードされる可能性があることは分かっている。でも僕はこのチームが好きだ。ここにいたいと思っている。できることなら、チームが誰かを獲得してくれることを願う。ビッグボーイズも戻ってくるからね」と話していた。

ビッグボーイズとは、言うまでもなく右ふくらはぎを痛めて離脱しているマイク・トラウト外野手(29)と、左太もも裏を痛めて離脱しているアンソニー・レンドン内野手(31)のことだ。今季のMVP最有力候補に挙がる大谷に、毎年のようにMVP候補になるトラウト、経験豊富なレンドンがそろえば、打線は他の強豪にも引けを取らない。先発ローテーションも安定してきた。あとは、リリーフ投手陣が何とかなれば……というのが多くの人の思いだろう。

ジ・アスレチックの大御所野球記者ケン・ローゼンタール氏は「エンゼルスは、カッブとヒーニ-をトレードに出しても、有望株のデトマースとロドリゲスを昇格させれば十分戦える」と指摘していたが、どうだろう。いずれにせよ、大谷がブレークした今、ポストシーズンでの活躍を見てみたいと思うファンは多い。

ちなみに今年のトレード期限は、今月30日の東部時間午後4時(日本時間31日午前5時)。例年なら31日だが今年は土曜日のため1日ずらしたという。これまではトレード期限を過ぎても、トレード自体はウエーバーを通せば可能だったが、今年はこの期限以降はシーズン終了までトレードができないという文字通りの期限。売りか買いかの決断をかつてのように先延ばしにできないため、勝率5割前後の球団にとっては、難しい状況になっている。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)