エンゼルス大谷翔平投手(28)かヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)か-。今季のア・リーグMVP論争が白熱してきた。

大谷は昨季、夏頃から有力という話題が出始め、シーズン終盤には有力を超えて鉄板というムードになった。今季はライバルのジャッジが記録的ペースで本塁打を量産。シーズン最後まで激しい賞レースを続ける可能性が高い。

MVPと連動する傾向が強いデータサイト「ファングラフス」のfWARランキングでも、すでに大谷とジャッジが激しいトップ争いを繰り広げている。開幕から最初の2カ月は好調のジャッジが大きくリードしていたが、大谷が6月に猛追し逆転。しかしオールスター明けはジャッジが再び本塁打量産ペースを上げ、大谷からWARトップの座を奪い返した。大谷が投打の二刀流で力を発揮し続ければ、最後まで抜きつ抜かれつのデッドヒートが続きそうだ。

MVPの議論については、アストロズの先発右腕ジャスティン・バーランダー(39)がオールスター戦のとき、チーム内の雑談の場でかなり意見が割れたと話していた。バーランダー自身は「ショウヘイはリーグトップ10に入る打者であり、トップ10に入る投手。彼に投票しないことを選択するのは難しい」と大谷推しだったことを明かしていたが、ジャッジ推しもおりチーム内で結論は出なかったようだ。

米専門テレビ局MVPネットワークでも、21日の情報番組で「MVPはオオタニがジャッジか?」のテーマを放送していた。元投手のジェーク・ピービ-氏とダン・プリサック氏が議論し「オオタニは今、メジャーでベストの投手。ジェイコブ・デグロム(メッツ)やゲリット・コール(ヤンキース)の域だ」という意見で一致したが、「打者では今、ジャッジがトップ」とし、議論が盛り上がった。

ESPNラジオのロサンゼルス局でも、26日のスポーツトーク番組で大谷かジャッジかの論争があり、地元選手ということもあってか大谷推しの声が優勢だった。だが過激なスポーツメディアとして知られる「Deadspin」は25日付で、「オオタニファンには悪いが、MVPはジャッジだ」と断言するコラムを掲載していた。

シーズン最後まで目が離せないMVPの賞レース。もし大谷がジャッジに勝ち受賞するとなれば、タイガースのミゲル・カブレラ内野手(39)が2012、13年に受賞して以来の2年連続受賞となる。連続受賞はメジャー史上でわずか13人(バリー・ボンズが2度達成)しか達成しておらず、かなりハードルが高いが、果たしてどうなるか。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)