今は世界中の注目がサッカーW杯に集まっていますが、米国でもサッカー人気は着実に上昇しています。25日(日本時間26日)に行われた「米国-イングランド」戦は、サッカーの試合としては米国史上最多となる1540万人の視聴者を記録するなど、米国のスポーツ事情も少しずつ変化しています。

サッカーに限らず、国の代表としてプレーする大会はやはり注目度がアップするようで、来年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)も盛り上がりが期待されています。

2006年の第1回大会は米国が敗退し、侍ジャパンが初代王者に就いたこともあり、米国内ではメジャーの公式戦開幕前の「エキシビション」のようなイベントとして受け止められていました。第2回、第3回とも米国はV逸。その一方で、米国が初制覇した17年決勝で5万人以上の観客を集めたのをはじめ、各試合の開催地では13年比で23%増の集客、MLBネットワークの視聴率で32%増、グッズ等の販売で50%以上を記録。ビジネス的にも採算が取れるどころか、巨額の利益を生むイベントとなり、MLBも本腰を入れるようになりました。

第5回大会を前に、今年7月には、MLBの「顔」とも言えるマイク・トラウト外野手(エンゼルス)が主将に就任。早々とチーム編成に着手しました。

「母国のためにプレーすることを楽しみにしているよ。僕にとっても、僕の家族にとっても大きな意味のあること。“USA”を胸に付けるなんてすばらしいこと。とても楽しみだ」。

その後は、トラウト自身が他の選手を「リクルート」したこともあり、続々と有力選手が参戦を表明。MVP2回のブライス・ハーパー外野手(フィリーズ)は右肘の「トミー・ジョン手術」を受けたため、絶望的となりましたが、スーパースターがズラリとエントリーする予定です。年俸3700万ドル(約52億円)のトラウトをはじめ、3500万ドル(約49億円)のノーラン・アレナド三塁手、今季のMVPで2600万ドル(約37億円)のポール・ゴールドシュミット一塁手(ともにカージナルス)、2500万ドル(約35億円)のムーキー・ベッツ外野手(ドジャース)ら、DHを含む予想スタメンの9人の総年俸は約1億8000万ドル(約250億円)前後。今後、高額の先発投手が複数加われば、総額2億5000万ドル(約350億円)の「ドリームチーム」になりそうです。

米国以外でも、第3回大会を制したドミニカ共和国や初制覇を目指すベネズエラ、プエルトリコなど中南米の強豪も現役メジャーリーガーをそろえる見込みです。

地球規模のサッカーW杯にはまだまだ遠く及びませんが、「野球版W杯」を目指すWBCも、将来的には着実にスケールアップしていきそうです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)