WBCは侍ジャパンの3大会ぶり世界一奪還で幕を閉じ、胴上げ投手にもなったエンゼルス大谷翔平投手(28)がMVPに輝きました。いよいよ、30日(日本時間31日)からは、大リーグの2023年シーズンが開幕します。大谷は2年連続の開幕投手、そして「リアル二刀流」でメジャー6年目をスタートさせます。

今年は大谷にとって大事なシーズンです。今季終了後にフリーエージェント(FA)となる見込みで、エンゼルスで最後のシーズンとなる可能性があります。また、今季成績次第で、新たな契約にも影響を与えることになります。

WBCでの圧倒的なハイパフォーマンスにより、今季も大記録への期待は高まっています。史上初の2年連続2桁勝利&2桁本塁打なるか、2年連続で規定投球回&規定打席のダブル規定到達なるか。さらに、夢の投打ダブルタイトル獲得なるか、などにも注目が集まります。

そして、今年こそチームの優勝が期待されます。それは、エンゼルスが大谷を引き留めるためにも必要であり、プレーオフ進出、さらにはワールドシリーズ出場など、どこまで近づけるかで、去就にも左右するでしょう。

同僚のマイク・トラウト外野手(31)も大谷引き留めのために、「今年はやるよ。勝ってプレーオフに進む」と誓うなど、オフの補強にも大満足しているようです。フィル・ネビン監督もプレーオフ進出を目指すため、すでに昨年の暮れから大谷の登板間隔を中5日にする方針を明言。そこには「出来る限り投げて欲しい」という思いがあり、フル回転でマウンドに上ることを期待しています。

今や球界を代表するエースになった大谷には、チームを勝利に導き、チームを勢いづける力があります。昨年は開幕から好スタートを切り、5月16日時点で1位。そこから球団ワースト記録更新の14連敗を喫するなど、まさかの急降下で優勝戦線から脱落しました。そんな悪夢を繰り返さないためにも、エースのフル回転が必要です。

開幕は敵地オークランドでのアスレチックス戦。アスレチックスといえば、2018年の先発デビュー戦で6回3失点で初勝利を挙げた相手。続く2戦目も再び顔を合わせ、7回1死までパーフェクトで連勝を飾りました。昨年9月には8回2死までノーヒットノーランなど、相性は抜群です。開幕から快投を演じ、最高のスタートを切りたいです。

本人もWBC優勝を経験したことで、「ワールドシリーズに出て勝ちたい。いまはそこしか考えていない」という、強い“欲”が出てきました。それはファンも同じ気持ちであり、今度はワールドシリーズで投打に躍動する姿が見たいです。これまた大谷にしか出来ない、前人未到のWBC、ワールドシリーズとも“ダブル世界一&MVP”に輝くようなら、世界一のプレーヤーの座は不動のものになるでしょう。(大リーグ研究家・福島良一)

エンゼルス大谷翔平(2023年3月24日撮影)
エンゼルス大谷翔平(2023年3月24日撮影)