いよいよ、メジャーも球春到来となりました。2月9日(日本時間10日)にドジャースが先陣を切ってキャンプイン。3月20日(同21日)、メジャー史上初めて、韓国で開幕戦を迎えるためです。キャンプイン直前、ドジャースに朗報が届きました。昨季終了後にFAとなったクレイトン・カーショー投手(35)と再契約しました。

チーム一筋16年で通算210勝。2014年ナ・リーグMVPをはじめ、サイ・ヤング賞を3回受賞。20年には初の世界一など抜群の実績を誇り、将来は殿堂入りが有力視される大投手です。

昨季も13勝5敗、防御率2.46の好成績を挙げました。しかし、プレーオフの地区シリーズ第1戦で、ダイヤモンドバックス相手に1回持たず6安打6失点と大炎上。数週間後に左肩手術を受け、今シーズンの開幕は絶望。夏頃に復帰の見込みです。

昨年オフ、ドジャースは日本のエース山本由伸をはじめ、先発投手陣を大補強しました。しかし、けがなどで規定投球回に達した投手が少なく、不安もありました。そこでシーズン162試合という過酷なペナントレースを乗り切るため、ある程度けが人も想定し、なるべく投手層を厚くしたいところでした。そこに従来のエースが残留するとは、頼もしい限りです。

また、ドジャースのような地区優勝を目指すチームは、夏場以降が本当の勝負となります。大事な時期に信頼出来るエースが戻ってくれば、これほどうれしいことはありません。かつてはポストシーズンであまりいい成績を残せませんでしたが、20年のワールドシリーズでは2勝0敗、防御率2.31と大活躍。チームの世界一に大きく貢献しました。

現在、カーショーは通算200勝の大台に加えて、2944奪三振をマーク。メジャー史上20人目の通算3000奪三振にあと56三振と迫っています。これは通算300勝以上の24人、通算500本塁打以上の28人に比べても少ない数字で、それだけ偉大なる金字塔を物語っています。

そして、最大の注目はカーショーに加えてムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、新加入の大谷翔平とMVP受賞歴ある選手が4人となり、メジャー史上のべ6球団目の「MVPカルテット」が誕生したことです。

過去に1978年レッズ、82年エンゼルス、96年レッドソックス、2021、22年ドジャースが、MVP受賞歴ある選手4人を擁しました。つまり、のべ6球団中3球団がドジャースであり、この4年間で3度目のMVPカルテットということになります。まさに超ど級ドリームチームと言えるでしょう。

ただし、その中で優勝したのは82年エンゼルス、21、22年のドジャースだけで、いずれもプレーオフで敗退しています。ワールドシリーズ制覇どころか、リーグ優勝したチームもありません。

だからこそ、今年は史上初のMVPカルテットで、世界一を目指して欲しいのです。そのために1~3番を打つベッツ、フリーマン、大谷はもちろん、エース山本だけでなくベテラン、カーショーの力も絶対に必要です。特に、シーズン終盤やポストシーズンでは、実績あるエースの存在が必要不可欠。メジャー17年目を迎えるカーショーの復活に期待です。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

ドジャース入団会見で報道陣の質問に笑顔で答える大谷(2023年12月14日撮影)
ドジャース入団会見で報道陣の質問に笑顔で答える大谷(2023年12月14日撮影)