現地6日、ヤンキースの田中将大投手は本拠地でのレッドソックス戦に先発したものの、5回を3被本塁打を含む5安打5失点2奪三振1四球に終わり、今シーズン6敗目を喫した。わずか62球で降板という乱調ぶりにはニューヨークのメディアやファンから厳しい目が向けられている。そんな田中に対してテレビ中継の解説者が放った言葉が騒動になってしまった。

 その発言をしたのはこのゲームをレッドソックスの本拠地ボストン向けに放送したボストンの地元局NESNの解説者、ジェリー・レミー氏。同氏は二塁手として活躍し、1978年にはオールスターにも選出され、引退後はレッドソックスの殿堂入りも果たしている人物だ。

 4回に田中が2本の本塁打を打たれ、ラリー・ロスチャイルド投手コーチがマウンドに向かった際、堀江慎吾通訳を伴っていたのを見たレミー氏は実況のデイブ・オブライエン氏に対し、「これは合法にすべきではないと思う。本当にそう思う。ベースボール用語を学べ。わかるだろう、学べ、簡単なことだ。長い時間たってるんだから、投手コーチと投手の会話ならすごく簡単に理解できるだろう」と発言したのである。これに対しオブライエン氏は「たぶん、彼らは会話の中でニュアンスが落ちてしまうのを心配してるんですよ」とフォローしていた。

 MLBでは2013年から監督やコーチと共に通訳がマウンドに同行することが認められている。そのため堀江通訳が同行したことはルールに違反していない。ただレミー氏はこのルールが気に入らなかったようだ。

 この発言についてスポーツ専門誌スポーツ・イラストレイテッド電子版などが報道したこともあり、直後からソーシャルメディアを中心に人種差別だなどと、炎上することとなってしまったのである。

 それを受け、レミー氏は翌7日、ツイッターで「昨夜の放送の中での私の言葉で不快となった方々に心から謝罪します」と投稿した。さらにNESNも「火曜夜のニューヨークからの中継に関連して、NESNはジェリー・レミーが表現した、いかなる見解にも賛同しておらず、またジェリーと話し、彼が後悔していることを理解しました。我々はジェリーの言葉で不快となった方々に心から謝罪いたします」と謝罪声明を出している。

 対して田中はこの件について「いろんな人の意見や考え方があるし、その人がどういう真意でどういう考え方をもって発言したかも僕は分からないので、答えようがない。でも、細かいニュアンスの部分だったりというのがあるから。ルールで認められている部分で、こちらは利用させていただいているだけです」とコメントしたということだ。

 田中としては不調の中、余計な騒ぎに巻き込まれてしまったと感じたに違いない。復調への障害にならなければいいのだが。