いよいよ始まったMLBスプリングトレーニング。各チームが投手、捕手のバッテリー組から招集しているが、なかでもアメリカ・メディアの多くが取り上げていたのがエンゼルスに入団した大谷翔平投手だった。やはり二刀流、英語で2Way playerに挑むことは大きな関心の的となっているのである。

 そんななか、スポーツ専門局ESPNは14日、大谷は1人の選手とする、という声明を出し注目されている。これはどういうことかというと同社が運営するファンタジー・ベースボールでの大谷の扱いについての決定だ。

 ファンタジー・ベースボールはある条件の下、実在の選手を自分の判断で”ドラフト”し、架空のチームを結成。その選手たちの実際の活躍具合によって、独自の得点があり、参加者それぞれの架空チームの得点を競うというゲームだ。例えば、投手であれば勝利や奪三振などが、野手であれば安打数や本塁打などが評価の対象となる。アメリカでは個々人が集まってファンタジー・ベースボールのリーグ戦を楽しむほか、多額の賞金が出る商業リーグなども専門企業やメディア企業によって多数運営されており、一大産業となっているのだ。

 そんなファンタジー・ベースボール運営会社にとって悩ましい問題となっているのが、大谷なのだ。基本的にどの会社でも投手と野手は分けられており、それぞれの評価基準は異なる。投手が打撃面で評価されることはないのが基本だ。

 が、大谷の場合、投手としても打者としても活躍が期待されている。ファンタジー・ベースボール上でどう扱うべきか。前述のように賞金がかかっている場合も多いため、ルール面での扱いの決定は非常に重要なのだ。

 ESPNが決定した1人の選手というのは、ゲーム上大谷を1人の選手として自分のチームに登録することができるというもの。ただし、同時に投手と打者の両方で得点することはできず、投手か打者のどちらかの登録とするということである。このような1度にどちらかの成績しか利用できないとするルールはESPN以外にもCBSスポーツやFanTraxといった運営会社が採用している。

 対してヤフーのファンタジー部門は同じ試合で投手、打者の両方で活躍する可能性を配慮し、投手の大谷と打者の大谷という”2人の大谷”ルールを採用することを発表済みだ。ただこれだと投手と打者の大谷が別々の架空チームに所属する、という可能性もある。

 現地13日の自主トレ打ち上げ時に、マイク・ソーシア監督は大谷のため、伝統的な5人ではなく6人体制で先発ローテーションを組む考えを明かした。さらに「まず投手として大谷を考える。(そのうえで)打者としてどう活躍してくれるか見ていきたい」と述べたが、大谷の登場はこんな人気産業にまで影響を与えているのである。