過去大活躍したトニー・オリバやトニー・ペレス、ホセ・カンセコなどはもちろん、現役のホセ・アブレイユやアロルディス・チャップマン、ヤシエル・プイグなどMLBには多くのキューバ人選手が在籍してきた。

しかしアメリカとキューバが長く国交を断絶してきたこともあってキューバ人選手がMLBチームと契約するには亡命などの政治的手段をとることが多く、時には悪質なブローカーなどが介在し選手が危険な目にあったり、財政的負担を強いられることが多かったのである。しかし今後はそんな心配をすることなく、MLBで活躍することができそうだ。MLBおよびMLB選手会がキューバ野球協会(FCB)と「メジャーリーグクラブと契約するための安全で合法的な道」を提供する合意に達したと発表したのである。発表によれば合意の目的は「合衆国でプロ野球をすることを望んでいるキューバ人選手の危険な人身売買を終結させること」だという。

ホワイトソックスのアブレイユ一塁手は「密輸業者や悪徳組織と取引することが、キューバの野球選手にとってついに終わりとなるでしょう。今日まで、私はまだ嫌がらせを受けています」と明かしている。

ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは声明で「何年もメジャーリーグベースボールは、メジャーリーグクラブと契約するための安全で合法的な代替手段を作ることによって、キューバからの野球選手の犯罪組織による人身売買の終結を目指してきた。我々は、この協定がその目的を達成し、メジャーリーグベースボールでプレーする現役、元キューバ人選手が経験した多くの困難に直面することなく次世代のキューバ人選手が彼らの夢を追求することを可能にすると信じている」としている。

契約では、FCBは契約を結んでいる25歳以上で、MLBクラブと契約し6年以上のプレー経験を持つ全ての選手を解放しなければならない。またFCBはMLBクラブと契約するために若手選手を解放することができる。

FCBから解放された選手はキューバを離れることなく自由にMLBクラブと交渉し、契約することができる。一方FCBから解放された選手と契約するMLBクラブはFCBに「解放料」を支払う。

こうした契約は日本プロ野球機構や韓国プロ野球機構、中国プロ野球連盟と結んでいるものと同じで、解放料の金額に関してもこれらと同じ計算式が用いられるということだ。

今回の契約はMLBとキューバ、アメリカとキューバにとって大きな前進となりそうだ。