マリナーズのイチロー外野手(44)が9日(日本時間10日)、合流2日目に初めてメジャー投手を相手に実戦形式の打撃練習を行い「3打数3安打」と快打を連発した。すでに首脳陣が「開幕スタメン」を明言するなど、期待されていることに対し、意気に感じる心境を明かした。

 イチローの反応は、紛れもなく、率直にうれしそうだった。前日、マ軍ディポトGMが米メディアを通して、イチローの「開幕スタメン」「週に4~6試合起用」を明言。あらためて高い期待を寄せられていることが明らかになった。

 「えっ、そうなんですか? それ、僕、知らないっス」

 開幕スタメンとなると、ヤンキース時代の13年以来5年ぶり。開幕約3週間前のこの時期に、GM自らが公言したこと自体が異例だった。さらに、サービス監督は「9番イチロー、1番ゴードン、2番セグラ」と俊足3選手を並べ「スーパーカートリオ」で塁上をかき回し、カノ、クルーズの主軸につなげる得点パターンを、今季の構想として明かした。過去数年間「外野手の4番手」だったイチローは、ある意味で異なる役割を期待されることになる。

 「『ある意味』じゃないでしょ。全然違うでしょ」

 そう反応するほど、首脳陣から主軸として計算されていることを、意気に感じていた。やりがいと同時に、責任感とモチベーションもアップする。

 「やっぱりそれは、心意気みたいなものですから、こっちが感じることは。それは応えたいです。あったり前ですけど。そういう種類の期待は、ここ数年なかったですからね」

 合流2日目のこの日は、初めて実戦形式の打撃練習を行った。昨季、救援として69試合に登板したビンセント相手に、3打席に相当する全11球の対戦。左中間深部への長打、右前打、中前打と、持ち前の広角打法を披露した。ベースランニングでは、27歳のハニガーをはるかに上回るスピードで快走。体力測定の数値でディポトGMを驚かせた、常識を超える能力を発揮した。

 「過去に、なかなかいてくれなかったから、そういう人間が増えれば増えるほど、未来もそうなっていくはずです。記録が生まれないと次は生まれないと同じことです」

 マ軍のユニホームに身を包み、開幕戦にスタメンでセーフコフィールドのグラウンドに立つ44歳。イチローにだけは、一般的な常識は当てはまらない。【ピオリア(米アリゾナ州)=四竈衛】