エンゼルス大谷翔平投手(23)が、インディアンス戦に「8番指名打者(DH)」で出場し、本拠地初打席でメジャー1号を放った。

 本塁打を放った大谷がベンチに戻ると、何と同僚たちが知らんぷり。これはメジャーでよく見かける「儀式」で「サイレント・トリートメント(無視)」と呼ばれている。新人がメジャー初本塁打を放ったときによく行われ、新人をいじって遊ぶ伝統の1つであり、いじることにより新人をもっと溶け込ませようとする先輩たちのフレンドリーないたずらだ。この他、ベンチから全員いなくなる「エンプティ・トリートメント」というものもある。新人の初本塁打だけでなく、意味のある本塁打を放ったときなどにも行われることがある。

 過去には、青木(現ヤクルト)がマリナーズに移籍した16年に移籍後初本塁打で、川崎がやはり16年にカブスのキャンプ中に初本塁打を放った際、サイレント・トリートメントを受けた。イチロー(マリナーズ)も、ヤンキースに所属していた14年にシーズン1号となる3ラン本塁打を放った際、当時同僚だったジーター氏(現マーリンズCEO)に派手なサイレント・トリートメントを受け話題になった。

 だがこの儀式は比較的新しい伝統であるため、イチローや松井秀喜氏ら日本人野手は、メジャー初本塁打ではこれを受けていない。松井氏は03年4月8日の本拠地開幕戦で劇的な満塁弾がメジャー初本塁打となったが、このときは同僚が本来ならベンチの中でハイタッチをするところをわざわざフィールドに上がってきて出迎える異例の祝福だった。01年にメッツでデビューした新庄剛志氏も、初本塁打のときは同僚が一列に並んで日本式のおじぎで迎えるという一風変わった祝福を受けた。【MLB担当=水次祥子】