<アストロズ4-2エンゼルス>◇2日(日本時間3日)◇ミニッツメイドパーク

二刀流が復活した。エンゼルス大谷翔平投手(24)が、アストロズ戦で約3カ月ぶりに投手復帰し、2回1/3を投げ2安打2失点で2敗目を喫した。1回は順調に投球し、直球は最速99・3マイル(約159・8キロ)をマーク。2回にワンバウンドの打球を素手で捕りにいった影響で右手薬指の付け根に痛みを覚え、腰の張りの影響もあり、3回途中49球で降板した。

大谷の復帰登板を日刊スポーツ評論家の小宮山悟氏(52)がチェック。今後の見通しまで語った。

----◇--◇----

復帰登板としては合格点と言っていい。大谷にとって3カ月ぶりの真剣勝負で、立ち上がりは多少の緊張も感じられた。しかし1回に160キロ近い直球を続けていたように、最大の特徴である腕の振りの速さは故障前と変わらず、直球が走っていた。全体の投球フォームも以前と変わりはなく、肘をかばっているような動作もなかった。

変化球は、スプリットは問題なかった。ただ、強くひねる動作の入るスライダーは、無意識のうちに「怖さ」が出ているように映った。たたきつけるように腕を振り、大きく、かつ鋭く曲げる従来のスライダーから比べれば、やや物足りなさがあった。マイナー選手相手に、打撃投手の延長のような形で投げてのぶっつけ本場に近いマウンド。登板後の肘に問題がなければ、改善されていくだろう。

3回、スプリンガーに2ランされたのは、このスライダーだった。相手の体勢を崩したにもかかわらずスタンドまで運ばれた。前述の軌道と、狭い球場のサイズ、加えて、2回先頭のピッチャー返しに右手を出した影響も確実にあった。3回は急に球速も落ち、結果としてアクシデントでの降板のようになった。

打球方向が変わるくらいの勢いで当たったが、大谷はボールを捕りにいくのではなく、反射的に指の力を抜き、触れにいった。このあたりは豊かなセンスを感じさせるが、指先には末梢(まっしょう)神経が集まっている。投球動作中は血液が指先方向に向かい、投げてるうちは気にならなかっただろうが、イニング間は、血流などで指先がピリピリしびれるような感じになったと思う。力と力が衝突していたら、取り返しのつかない事態を招いた可能性もある。投げる方の素手を出すような、ケガにつながりかねない行為は反省しなくてはいけない。

シーズン終盤の投手復帰には、エ軍の「6年契約の使い方」を見極めたい意向を感じる。この1カ月で二刀流をこなし、結果をチェック。本当にトミージョン手術を行う必要がないのか、情報を収集する狙いがあると思う。来年の開幕前に不安があったり、今年と同じように離脱されては困るからだ。契約期間に余裕がある上、手術しても打者なら丸1年で復帰できる。球団としてはオペ適用で完治の判断に抵抗がないはず。大谷の今後を決める大事な1カ月になる。(日刊スポーツ評論家)