ナ・リーグ西地区首位を走るドジャースの前田健太投手(30)が、2位ロッキーズとの天王山第2戦で救援し、1回無安打無失点3奪三振の快投。こん身の10球でテーラーの延長サヨナラ弾につなげ、ゲーム差を1・5に広げた。

頭は冷静でも、1球ごとにテンションは上がった。出番は2-2の同点で迎えた8回。まずは、15年から2年連続2冠王の3番アレナドを3球で空振り三振に仕留めた。さらに07年2冠王ホリデーも3球で空振り三振。最後は5番デスモンドを4球で見逃し三振に打ち取ると、自然と気迫があふれた。「久しぶりに気持ちの入った球が投げられたと思います」。全10球(ストライク9球)を外角低めに集める完璧な制球力でねじ伏せた。

8月中旬、先発から救援へ配置転換された。本意ではない。ただ、カーショー、ヒル、柳賢振と先発左腕王国のド軍に対し、他球団は右の強打者をズラリと並べてくる。裏を返せば、継投勝負の大一番で勝敗を分けるのが救援右腕。キーマンの役割を託されたのが、昨季ポストシーズンでも実績を残した前田だ。実際、今季は救援で奪三振率14・1(9回換算=先発では10・6)と、トップクローザー級の数値をマークする。

残り10試合。「勝つしかない。任された場面をしっかり抑えて、勝利に貢献できるように頑張りたい」。地区6連覇、そして昨年、目前で逃した世界一まで。前田は歯を食いしばって腕を振る。【四竈衛】